0120-353-048

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ 24時間・365日受付
メニュー メニュー

時短勤務なのに残業させられるのは違法? 残業代の算出方法は?

2022年01月25日
  • 残業代請求
  • 時短勤務
  • 残業
時短勤務なのに残業させられるのは違法? 残業代の算出方法は?

滋賀県が実施した子育てに関する県民意識調査の結果によると、0歳から中学生までの子どもがいる方のうち、子育てをしながら働くうえでの問題点として「仕事と家事・育児の両立が体力・時間的に困難」と回答した方が71.6%、「子育てに十分時間がかけられない」と回答した方が53.7%と多数を占めました。

こうした状況への一つの解決策として、育児中の労働者について「時短勤務制度(短時間勤務制度)」が認められています。時短勤務制度が適用される労働者は、1日の所定労働時間を短縮することに加えて、残業を制限するよう勤務先に求める権利があります。

この記事では、時短勤務の労働者について適用される残業のルールを、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「滋賀県子育てに関する県民意識調査<平成30年度調査結果報告書>(滋賀県)」)

1、時短勤務とは?

時短勤務とは、小さい子どもを育児中の労働者について、所定労働時間の短縮などを認めることにより、仕事と子育ての両立を助ける制度をいいます。
(家族を介護する方にも類似の時短勤務制度が認められていますが、本記事では割愛します)

社会全体として、仕事優先の考え方が徐々に変化し、近年ではいわゆる「ワークライフバランス」の重要性が盛んに提唱されるようになりました。
その流れを受けて、2009年より短時間勤務制度(いわゆる時短勤務)が会社に対して義務化され、現在に至っています。

時短勤務の適用を受けられるのは、以下の①~④の要件をすべて満たす労働者です(育児介護休業法第23条第1項)。

<時短勤務の適用要件>
  1. ① 3歳に満たない子を養育していること
  2. ② 育児休業を取得していないこと
  3. ③ 1日の所定労働時間が6時間を超えていること
  4. ④ 以下のいずれかに該当する労働者について、所定労働時間の短縮措置を講じない旨の労使協定が締結されている場合には、以下のいずれにも該当しないこと
  • 雇用期間が1年に満たないこと
  • 1週間の所定労働日数が2日以下であること
  • 業務の性質や業務の実施体制に照らして、所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難な業務に従事していること


時短勤務の対象労働者は、会社に対して申し出ることにより、所定労働時間を原則6時間に短縮できます(同法施行規則第74条第1項)。

なお、上記に該当しない労働者についても、会社独自の制度として時短勤務を認めている場合があります
この場合、時短勤務に関するルールは社内規程に従うため、会社の人事担当者などにご確認ください(本記事では、育児介護休業法に基づく時短勤務に絞って解説します)。

2、時短勤務中の残業は違法?

時短勤務中の労働者については、所定労働時間が短縮されているというだけで、それ以上働くことが違法になるわけではありません。

ただし、一定の要件を満たす時短勤務者が、会社に対して残業の免除を請求した場合、会社はその時短勤務者に残業させることはできなくなり、または時間外労働・深夜労働の時間が制限されます。

  1. (1)法定労働時間または36協定の範囲内で残業は可能

    時短勤務者の所定労働時間は原則6時間となりますが、それ以外の残業に関するルールは、基本的にフルタイム勤務の労働者と同様に適用されます。

    労働基準法上、労働時間の上限は原則として「法定労働時間」とされています(労働基準法第32条)。
    法定労働時間は「1日8時間、1週間40時間」であり、この範囲で時短勤務者を残業させることは、原則として問題ありません。

    また、労使間で「36協定」が締結されている場合には、協定に定められた上限の範囲内で、法定労働時間を超えて時短勤務者を労働させることも可能です(同法第36条第1項)

  2. (2)時短勤務者は残業の免除を請求できる

    ただし時短勤務者は、会社に対して残業を制限するよう請求する権利があります。

    育児介護休業法上認められている残業免除請求は、以下の3種類です。
    なお、いずれの請求についても、事業の正常な運営を妨げられる場合には、認められないことになっています。

    ① 所定外労働の制限(同法第16条の8)
    所定労働時間を超えて労働する義務の免除を請求できます。

    ② 時間外労働の制限(同法第17条)
    36協定に基づく時間外労働を、1か月当たり24時間、1年当たり150時間以内に制限するように請求できます。

    ③ 深夜業の制限(同法第19条)
    午後10時から午前5時までの労働義務を免除するように請求できます。


    「所定外労働の制限」「時間外労働の制限」については、3歳未満の子どもを養育する労働者が申請できます。
    ただし、雇用期間1年未満または1週間の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定によってこれらの請求を禁止できることになっています

    一方「深夜業の制限」については、小学校就学前の子どもを養育する労働者が請求できます。
    ただし、以下のいずれかに該当する労働者については、深夜業の制限の請求が認められません。

    • 雇用期間1年未満の労働者
    • 深夜帯に子を常時保育できる同居の家族などがいる労働者
    • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
    • 所定労働時間の全部が深夜にある労働者


    なお、これらの残業免除請求は、時短勤務の適用を受けていない労働者であっても、要件を満たせば利用できるので、状況に合わせてご活用ください。

3、時短勤務における法定内残業と法定外残業(時間外労働)

時短勤務の方が残業をした場合、残業時間を「法定内残業」と「法定外残業(時間外労働)」の2つに分けて、残業代が計算されます。

  1. (1)所定労働時間を超えると「法定内残業」

    所定労働時間を超え、かつ法定労働時間の範囲内の部分に相当する残業を「法定内残業」といいます。

    時短勤務者の所定労働時間は6時間なので、1日2時間までの残業は「法定内残業」に当たります。
    ただし、1週間の労働時間が40時間を超過した場合、超過分については、1日2時間以下の残業であっても「法定外残業(時間外労働)」です

    法定内残業に対しては、賃金の割増はなく、通常と同じ賃金が支払われます。

  2. (2)法定労働時間を超えると「法定外残業(時間外労働)」

    法定労働時間を超える部分に相当する残業を「法定外残業(時間外労働)」といいます。

    時短勤務かそうでないかにかかわらず、1日8時間を超える部分の労働時間については、すべて「法定外残業(時間外労働)」に当たります。
    また、1週間の労働時間が40時間を超過した場合にも、原則として超過分はすべて「法定外残業(時間外労働)」となります。

    法定外残業(時間外労働)については、原則として、通常の賃金に対して25%以上の割増賃金が支払われます(労働基準法第37条第1項)

4、時短勤務者の残業代の計算式・計算例

労働基準法に基づく残業代の計算式は、以下のとおりです。

<残業代の計算式>
残業代=1時間当たりの基礎賃金※×残業時間数×割増率

※「基礎賃金」とは、給与計算期間(例:月給制ならば1か月)において会社から支給された金銭の総額から、以下の手当・賃金を控除したものを意味します。
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 時間外労働、休日労働、深夜労働の手当


以下の設例について、時短勤務者の残業の総額を計算してみましょう。

<設例>
  • 時短勤務(所定労働時間:6時間)
  • 1時間当たりの基礎賃金:2000円
  • 月曜~水曜は各7時間労働
  • 木曜、金曜は各9時間労働

→月曜から金曜までの残業代総額は?


上記の設例では、月曜から水曜まで毎日1時間ずつ、計3時間残業しており、そのすべてが「法定内残業」に当たります。

一方、木曜と金曜には各3時間残業していますが、1日8時間を超える各1時間(計2時間)については「法定外残業(時間外労働)」、残りの各2時間(計4時間)は「法定内残業」に当たります。

上記をまとめると、月曜から金曜までの残業時間は、法定内残業が計7時間、法定外残業(時間外労働)が計2時間です。
したがって残業代の総額は、以下のように計算されます。

残業代
=2000円×7時間+2000円×2時間×1.25
=1万9000円

5、残業が多すぎると感じた場合の対処法

最近残業が多すぎると感じている時短勤務の方は、会社に対して残業の免除を請求しましょう。
要件を満たす限り、会社は残業免除の請求に応じる義務があります。

もし会社に残業免除の請求が認められない場合には、弁護士へのご相談をお勧めいたします
労働基準監督署に相談することも考えられますが、会社に対して直接行動を起こし、早期に労働条件を改善するためには、弁護士へのご相談が近道です。

仕事と育児の両立に悩む方は、一度ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

6、まとめ

時短勤務制度(短時間勤務制度)は、育児介護休業法で認められており、3歳未満の子どもを育てる労働者の多くが利用できます。
時短勤務や関連する制度を活用すれば、残業についてもブロックできますので、うまく活用すれば仕事と育児の両立がしやすくなるでしょう。

ベリーベスト法律事務所は、仕事と育児の両立を目指す労働者の方をサポートするため、残業代請求や労働条件改善などに関するご相談を承っております。
残業の負担が重い、もっと子どもと関わる時間が欲しいとお考えの方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

0120-353-048

平日9:30〜21:00/土日祝9:30〜18:00

メールでのお問い合わせ
24時間・365日受付

お気軽にお問い合わせください ご相談の予約はこちら

滋賀草津オフィスの主なご相談エリア

草津市岡本町、草津市下笠町、草津市下寺町、草津市下物町、草津市笠山、草津市橋岡町、草津市駒井沢町、草津市穴村町、草津市御倉町、草津市桜ケ丘、草津市山寺町、草津市山田町、草津市志那中町、草津市志那町、草津市若草、草津市若竹町、草津市渋川、草津市上笠、草津市上寺町、草津市新堂町、草津市新浜町、草津市西渋川、草津市西草津、草津市西大路町、草津市西矢倉、草津市川原、草津市川原町、草津市草津、草津市草津町、草津市大路、草津市長束町、草津市追分、草津市追分南、草津市東草津、草津市東矢倉、草津市南笠町、草津市南笠東、草津市南山田町、草津市南草津、草津市馬場町、草津市平井、草津市平井町、草津市片岡町、草津市北山田町、草津市北大萱町、草津市木川町、草津市野村、草津市野路、草津市野路町、草津市野路東、草津市矢橋町、草津市矢倉、草津市青地町、草津市集町、草津市芦浦町、大津市、彦根市、長浜市、近江八幡市、守山市、栗東市、甲賀市、野洲市、湖南市、高島市、東近江市、米原市、日野町、竜王町、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町にお住まいの方

ページ
トップへ