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最低賃金制度とは? 給料が最低賃金に満たない場合の対処法について

2022年01月25日
  • その他
  • 最低賃金とは
最低賃金制度とは? 給料が最低賃金に満たない場合の対処法について

滋賀県の統計によると、2019年における滋賀県内の常用労働者1人当たりの月間現金給与総額は36万6475円でした(事業所規模30人以上)。

使用者があまりにも安い賃金で労働者を酷使するケースが見受けられますが、このようなケースは労働基準法・最低賃金法に違反している可能性があります。もしご自身の賃金が安すぎると感じている場合は、弁護士に相談して時給を計算し、最低賃金を下回っていないかを確認しましょう。

この記事では、最低賃金に関する法律上のルール・計算方法や、給料が最低賃金を下回っていることがわかった場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。

1、最低賃金制度とは?

労働者が使用者によって搾取されることを防ぐため、労働基準法および最低賃金法によって「最低賃金」のルールが定められています。

まずは、法律上の「最低賃金」とは何なのかについて、確認しましょう。

  1. (1)労働者が受け取る時給の最低ラインを定める制度

    労働基準法第28条は、労働者が受け取るべき賃金の最低基準を、最低賃金法によって定めることと規定しています。
    これを受けて最低賃金法では、最低賃金額についてのルールを詳細に定めています。

    最低賃金は、時間単位で定めるものとされています(最低賃金法第3条)
    したがって、各労働者の賃金を時間単位で計算したうえで、最低賃金以上の水準が確保されているかどうかを確認する必要があります。

  2. (2)地域別最低賃金と特定最低賃金について

    最低賃金法上の最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。

    「地域別最低賃金」は、各都道府県内で一律に適用される最低賃金です。
    地域における労働者の生計費・賃金や、事業者の賃金支払能力を考慮して決定されています。
    2021年10月の最低賃金引き上げにより、地域別最低賃金額の最低額は高知県・沖縄県の820円、最高額は東京都の1041円となりました。

    滋賀県の最低賃金は、896円です。

    「特定最低賃金」は、各都道府県内の特定の業種に従事する労働者について、産業別に定められた最低賃金です。

    地域別最低賃金と特定最低賃金のうち、いずれか高い方の金額が、労働者に対して適用される最低賃金となります

    たとえば、北海道の地域別最低賃金は889円(令和3年10月以降)ですが、北海道内における鉄鋼業の特定最低賃金は967円とされています。
    この場合、高い方の特定最低賃金が採用され、最低賃金は967円となります。

2、最低賃金制度の対象者と、最低賃金にカウントできる賃金の範囲

最低賃金制度は、労働者一般に幅広く適用されます。
また最低賃金は、あくまでも基本給などのベースの給料に対して適用されるものであることに注意しましょう。

  1. (1)最低賃金はすべての労働者に適用される

    最低賃金は、すべての労働者に対して適用されます。

    したがって、正社員のみならず、パート・アルバイトなどの非正規社員であっても、最低賃金以上の賃金が保証されています。

  2. (2)基本給と一部の手当のみが最低賃金にカウントされる

    最低賃金法第4条第3項および同法施行規則第1条では、以下の手当は最低賃金に算入しないものと定めています。

    • 臨時に支払われる賃金
    • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
    • 時間外勤務手当
    • 休日勤務手当
    • 深夜勤務手当
    • 精皆勤手当、通勤手当、家族手当


    つまり、最低賃金を計算する際にカウントできるのは、基本給と一部の手当(月ごとに支給される住宅手当、役職手当など)のみということです

    「賞与とトータルすれば最低賃金を超えるからOK」
    「残業代の割増賃金を考慮すると最低賃金を超えるからOK」

    といった使用者側の言い訳は、法の理解を誤った言い訳です。

    最低賃金法違反の有無をチェックする際には、最低賃金に算入できる賃金の範囲を、きちんと確認してください。

3、最低賃金を満たしているかどうかの計算例|月給制・週給制・日給制について

最低賃金法のルールにのっとって、月給制・週給制・日給制の3パターンにつき、実際に最低賃金を計算してみましょう。

なお、計算をシンプルにするため、支給される賃金は「基本給」と「残業代」の2つのみとします。

  1. (1)月給制の最低賃金を満たしているかどうかの計算例

    〈設例①〉
    • 月給制
    • 滋賀県内で勤務
    • 特定最低賃金の適用はなし
    • 基本給13万円
    • 残業代5万円
    • 所定労働時間150時間
    • 時間外労働40時間



    設例①では、滋賀県内で勤務・特定最低賃金の適用はなしという条件から、最低賃金は「896円」となります。

    前述のとおり、最低賃金の計算に当たっては、基本給はカウントするものの、残業代(時間外労働手当の割増分)はカウントしません。
    したがって、「基本給13万円」と「所定労働時間150時間」の部分のみに注目して、最低賃金を満たしているかどうかをチェックします

    すると、この労働者の1時間当たりの賃金は、

    13万円÷150時間=867円

    となり、最低賃金を下回っていることがわかります。

    実は設例①では、残業代を含めて1時間当たりの賃金を計算すると、最低賃金を上回っています(947円)。
    しかし、法律上は基本給部分のみで計算する必要があるため、設例①は最低賃金法違反に当たるのです。

  2. (2)週給制の最低賃金を満たしているかどうかの計算例

    〈設例②〉
    • 週給制
    • 滋賀県内で勤務
    • 特定最低賃金の適用はなし
    • 基本給3万5000円
    • 残業代8750円
    • 所定労働時間40時間
    • 時間外労働8時間



    設例②は週給制のケースですが、計算の考え方は月給制と同じです。

    残業部分を度外視し、基本給と所定労働時間のみに着目して1時間当たりの賃金を求めると、

    3万5000円÷40時間=875円

    となり、滋賀県の最低賃金(896円)を下回っているため違法です。

    設例②でも、残業部分まで含めれば最低賃金を上回っています(911円)。
    しかし、基本給部分だけで最低賃金以上でなければならないため、設例②は最低賃金法違反に当たるのです。

  3. (3)日給制の最低賃金を満たしているかどうかの計算例

    〈設例③〉
    • 日給制
    • 滋賀県内で勤務
    • 特定最低賃金の適用はなし
    • 基本給7000円
    • 残業代2200円
    • 所定労働時間8時間
    • 時間外労働1時間



    設例③は日給制のケースですが、やはり計算の考え方は月給制・週給制と同様です。

    基本給と所定労働時間のみに着目して1時間当たりの賃金を求めると、

    7000円÷8時間=875円

    となり、滋賀県の最低賃金(896円)を下回り違法となります。

    設例③では、残業1時間に対して2200円と高額の手当が支払われています。
    仮に残業部分を含めて計算した場合、1時間当たりの賃金は1022円と、比較的余裕を持って最低賃金を上回ります。

    しかし、再三強調しているとおり、最低賃金の計算に当たっては、残業代の金額は全く考慮されません。
    よって、設例③は最低賃金法に違反しているのです。

4、給料が最低賃金を下回っていた場合の対処法

もしご自身が受け取っている賃金があまりにも安く、最低賃金法違反の疑いがある場合には、労働基準監督署または弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

  1. (1)労働基準監督署に相談する

    労働基準監督署は、各企業における労使関係を監督・規制する官公庁です。

    最低賃金を下回る賃金で労働者を働かせることは、労働基準法第28条違反に該当するため、労働基準監督署による行政指導や刑事処分の対象となります。

    労働者には、使用者の労働基準法違反について、労働基準監督官に申告することが認められています(労働基準法第104条第1項)。
    また、申告をしたこと自体を理由として、使用者が労働者を不利益に取り扱うことは違法です(同条第2項)。

    労働者による申告をきっかけとして、労働基準監督署が臨検による調査を行い、使用者に対する改善指導が行われるケースはよくあります
    そのため、最低賃金法違反が疑われる場合には、労働基準監督署に相談してみる価値があるでしょう。

  2. (2)弁護士に相談する

    労働基準監督署は、あくまでも監督官庁であって労働者の代理人ではないため、会社に対して直接未払い賃金の請求を行ってくれるわけではありません。

    これに対して弁護士は、労働者の代理人として、未払い賃金の支払い催告や、労働審判・訴訟といった法的手続きなど、会社に対して直接的なアクションをとることが可能です
    一定の依頼費用はかかるものの、過去にさかのぼって金銭的なメリットを獲得したい場合には、弁護士へのご依頼をお勧めいたします。

5、まとめ

すべての労働者は、各都道府県および業種ごとに定められた最低賃金以上の賃金を保障されています。
最低賃金を下回る賃金で労働者を働かせることは、労働基準法・最低賃金法違反に該当するため、お早めに労働基準監督署または弁護士までご相談ください。

ベリーベスト法律事務所では、使用者に対して弱い立場にある労働者の味方として、未払い賃金の請求などをサポートいたします。
安すぎる賃金・サービス残業などにお悩みの労働者の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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