犯人からの逆恨みが怖い……対策としてできることは? 弁護士が解説
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犯罪被害にあったら、すぐに警察に相談するべきだと、頭では理解できるかもしれません。しかし、実際には「逆恨みされそう」という心配から、相談できずにいる方もいるのではないでしょうか。
逆恨みは、さまざまな場面で起こり得るものですが、特に交際をめぐって起こることが多い傾向にあります。
滋賀県では、保育園児らが死傷した事故の女性被告が、連絡を拒否した知人男性に「やり取りを全てみせる。それで終わり」などとメッセージを送り脅したとして、ストーカー規制法違反容疑で逮捕されるという事件がありました。
相談はしたいけれど逆恨みが怖くて、今もひとりで悩んでいる方もいるでしょう。
では逆恨みのおそれがある場合には、どのように対処したらいいのでしょうか。弁護士が解説します。
1、逆恨みとは
逆恨みは男女関係や金銭、性犯罪など、さまざまな場面で起こりうる可能性があり、重大事件に発展するケースもあります。では逆恨みとはどのように起こり、どう対処したら良いのでしょうか?
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(1)逆恨みが起こるケース
逆恨みは、自分の浮気が原因で交際相手から別れを切り出されたのに相手に嫌がらせをする、性犯罪の被害者が警察に相談したことを知り「ネットに情報を流す」と脅す、モンスター社員に対して指導をした上司を訴える、などといった自己中心的な思想によって起こるケースが少なくありません。
逆恨みをした結果、被害者を殴る、家や車を傷つける、ストーカー行為をする、といった直接的な行為に及ぶこともあります。近年は、インターネット上での誹謗中傷や、プライベートな画像をSNS上に公開する(リベンジポルノ)など、ネットを利用したものも増えています。
また、逆恨みが重大事件に発展することもあります。
平成30年には、ネット上で迷惑行為をしたことをブログで非難された福岡市の男が、ブログを書いたIT講師を刺殺するという事件が発生しました。
逆恨みによる嫌がらせは、すでに被害を受けて苦しんでいるところに、さらなるダメージをうけるため、精神的に非常につらい思いをすることになります。 -
(2)逆恨みによる行為で逮捕できるケース
残念ながら、逆恨み自体を禁じる法律は存在しません。
ただ逆恨みとしてとった行動が違法な場合は、刑事事件に発展する可能性があります。
たとえば以下のような行為です。●殴るなどしてケガをさせる
刑法の暴行罪や傷害罪
●脅す
刑法の脅迫罪
●ストーカーをする
ストーカー規制法違反
●リベンジポルノ
私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反(リベンジポルノ防止法)
2、逆恨みされたときの相談窓口
相手から逆恨みをされる心配があるとき、またすでに逆恨みで嫌がらせを受けているときにはひとりで抱え込まず、次のような相談先に連絡して対策を講じましょう。
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(1)警察の相談窓口
逆恨み行為など犯罪の被害にあった場合は、最寄りの警察署のほか、各都道府県警に設置されている被害者相談窓口で相談を受付けています。暴力を受けたり、物を壊されたりといった場合のほか、ストーカー被害を受けている場合にも相談が可能です。
被害の状況によっては告訴することも可能です。また、警察が家の周囲を巡回するなど、犯罪被害を防止するための行動をとってくれることがあります。
性犯罪被害の場合は、専用の全国共通電話番号があります。電話であれば顔をあわせる必要がないので、相談もしやすいでしょう。
ただし「殺してやる」と脅迫されるなど、命の危険を感じる場合や緊急性が高い場合にはすぐに警察へ通報してください。 -
(2)行政の相談窓口
警察に相談するか悩むときは、まずは行政の相談窓口を利用することを検討してください。
性犯罪被害の場合は、全国各地に行政が関与している相談窓口である「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」が設置されています。
また、女性に対する暴力は、全国の女性センターや男女共同参画センターでも相談が可能です。
公的機関以外には、民間支援団体の「被害者支援センター」が全国に相談窓口を設けており、電話と面接での相談が可能です。警察への付き添いなどの支援も受けられます。
3、告訴する際の注意点
逆恨みで被害を受けた場合、司法警察員または検察官に相手を告訴することで逮捕してもらえる可能性があります。逮捕してもらえれば、目前に迫った危険は回避できます。ただし告訴の際には注意すべきことがあります。
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(1)告訴とは
「告訴」は被害を申し出て、犯人の処罰を求めるものです。
似たような言葉で「告発」や「被害届」がありますが、告発は被害者以外の第三者が申告することです。
また被害届は被害の申告にとどまり、処罰を求めるものではないため、捜査をするかどうかは警察の判断によります。
逆恨みにより被害を受けた場合には、嫌がらせがエスカレートするのを防ぐためにも、相手を告訴して警察に動いてもらうことが大事です。 -
(2)告訴の流れ
告訴をする際は、まず警察署か検察庁に告訴状を提出しますが、一般的には実際に捜査を担当する警察に提出することになります。
自分で作成し持参もできますが、先に警察に相談し捜査の必要性があると判断された場合は、警察官が一緒に作成してくれることもあります。
相手が判明している場合は相手の名前、被害の内容などを記載し、処罰を求める内容にします。
告訴状が受理されれば警察の捜査が始まり、必要に応じて警告や逮捕をしてくれます。
加害者がどのような処分になったかについても、情報を受けることができます。 -
(3)告訴の際に注意すべき点
告訴状を出せば、必ず警察が捜査してくれるというわけではありません。
警察はさまざまな事件を抱え、人員も限られているため、捜査する必要性があると判断した案件のみ告訴状を受理します。つまり、告訴状が受理されないこともあるのです。
告訴を受理してもらうためには緊急性があること、危険度が高いことなど、すぐに捜査してもらう必要があることを警察に認識してもらわなければいけません。
自分で告訴状を作成し提出する場合は、証拠をそろえたり、被害状況やこれまでの経緯を細かく説明したりするなどして、告訴状を受理してもらえるように準備を進める必要があります。これらの対応が難しい場合は、弁護士など専門家に相談した上で対応すると心強いでしょう。 -
(4)告訴とあわせて準備しておきたいこと
告訴して警察が捜査を始めると、相手が告訴されたことに気づく可能性があります。
さらなる逆恨み被害を避けるために、身を守る行動をとる必要があります。
まず、相手とは直接接触しないようにしましょう。電話やSNSで連絡があっても、取り合わないでください。脅迫を受けたらすぐに警察に相談しましょう。
相手が自宅を知っている場合には、引っ越すことも検討しなければいけないでしょう。
ただすぐにできることではありませんので、一時的に友人宅に身を寄せる、警察に周囲を巡回してもらうなどの対策をとることが大切です。
4、弁護士ができること
逆恨み被害は警察に相談することが第一ですが、被害状況によっては警察が動いてくれないケースもあります。また、当事者間で解決できる場合もあるでしょう。弁護士であれば、状況に応じた対処法をアドバイスすることができるので、まずは相談してみることをおすすめします。
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(1)相手との交渉
弁護士は相手について調査し、嫌がらせをやめるように警告をする、訴訟を起こす可能性があることを伝えるなどして嫌がらせをやめるよう交渉します。
弁護士が代理人として立つことで、相手が事態の深刻さに気づき、逆恨み行為をやめてくれることが期待できます。また、けん制にもなるでしょう。
なお、弁護士はあなたの代理人として交渉することができるので、相手と顔をあわせる必要はなく、直接話をする必要もありません。 -
(2)訴訟を起こす
相手が交渉に応じない場合には、訴訟を起こすことを検討します。
物を壊された場合には損害の賠償、精神的苦痛を受けた場合には慰謝料の請求など、受けた被害の内容によって求める内容は変わります。
訴訟は警察の逮捕以外に相手に対抗するための手段であり、逆恨みによって受けた被害を少しでも回復するための手段でもあります。
弁護士に依頼することで、訴状や準備書面など、裁判に必要な書類や手続きのほとんどを任せることができるので、訴訟に伴う煩雑な作業や余計なストレスを負うこともありません。
5、まとめ
加害者からの逆恨みで嫌がらせを受ければ、精神的に大きく傷つきます。しかし、泣き寝入りしてしまえば、相手の行動がエスカレートして命の危険にさらされることもあるのです。どうか、ひとりで悩まないでください。どうしたらいいのかわからないという方は、まずはベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスへご連絡ください。
滋賀草津オフィスの弁護士が、これまでの状況を親身になって伺い、相手との交渉、警察との連携、訴訟の準備など事案に応じた対処方法を考えます。これ以上苦しむことのないよう、迅速にできる限りの対応を講じます。逆恨みによる被害を受けている方や、逆恨みされそうだと不安に感じている方は、すぐにご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています