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ゴルフ中に事故発生! 相手のショットが当たって負傷した際の損害賠償

2020年05月26日
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ゴルフ中に事故発生! 相手のショットが当たって負傷した際の損害賠償

滋賀県には大きなゴルフ場があり、多くの方がゴルフを楽しんでいます。その中で、「ゴルフ中の事故で損害賠償を請求されたら……」と考えてプレーをしている人は少ないでしょう。

しかし、ゴルフはその特性上、ゴルフボールが人に当たれば大きなケガにつながる可能性があります。たとえば、隣のホールから飛んできたボールが自分に当たった結果、ケガをしてしまったり、入院したりする事態になってしまった事例も少なからず存在します。

ここでは、実際にあった事例とともに、損害賠償ができる基準や金額などについて、滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。

1、ゴルフで実際にあった事故・過失

ゴルフ場で損害賠償を請求する事態に発展した事例をご紹介します。

  1. (1)打球が先行プレーヤーの右肩を直撃した事例(東京地裁平成5年8月27日判決)

    先行してプレーをしていた原告の右肩に、後方でプレーを行っていた被告が打った球が直撃し、右肩甲骨骨折の傷害を負ったとして、先行プレーヤーである被害者が損害賠償を求めた裁判で、後続プレーヤーとゴルフ場経営会社に対する損害賠償請求が認められたものがあります(東京地裁平成5年8月27日判決)。

    この裁判では、

    1. ①後続プレーヤーおよびゴルフ場経営会社に対して「過失」が認められるか否か
    2. ②被告が原告に対して賠償しなければならない損害の範囲等

    が主要な争点となりました。

    これらの争点について、裁判所は、①については、両被告の「過失」を認定し、後続プレーヤーの不法行為責任およびゴルフ場経営会社に対する使用者責任を認めました。

    また、②については治療費、慰謝料、休業損害等原告が主張していた損害の一部を本件事故により発生した損害として認定しました。

  2. (2)ショットでキャディーが失明した事例(名古屋地裁平成14年5月17日判決)

    プレーヤー同士の間で起きた事故ではありませんが、プレーヤーが放ったショットが原因でゴルフ場のキャディーが負傷したことにより、キャディーがプレーヤーに対して損害賠償請求を行った事例もあります(名古屋地裁平成14年5月17日判決)。

    この裁判の判決では、ゴルフ場に所属しているキャディーは通常ゴルフ場のコースに精通していることから、自ら事故を回避するよう努める余地も大きかったと判断され、5割の過失割合が認定されました。過失相殺の結果、キャディーの請求が一部認められ、約1046万円の支払いが認容されました。

2、誰がどのくらい責任を負う? 損害賠償の基準

一般論として、被害者が加害者に対して損害賠償請求を行う場合、まずは請求をする相手方を特定し、受けた被害金額を計算して請求する必要があります。ゴルフのプレーにより発生した事故を原因とする損害賠償請求も例外ではありません。

裁判外の交渉で相手方が損害賠償の内容に納得すれば、当事者間の合意(いわゆる示談など)によって解決に至ります。他方で、被害者と加害者の間で事故当時の認識の齟齬や、損害賠償の金額等で相手方と折り合いがつかない場合は、調停や訴訟などの裁判上の手続に移行することになります。

そして、損害賠償請求である以上、①加害者が故意または過失によって、②加害行為をし、③被害(損害)が発生したこと、④加害行為と被害との因果関係があること、が必要となります。

  1. (1)過失とは

    一般に民法上の「過失」とは、

    1. ①加害者が、損害発生の危険を予見したこと、あるいは予見すべきであったのに予見しなかったか否か
    2. ②損害発生を予見したにもかかわらず、その結果を回避するべき義務に違反して、結果を回避する適切な措置を講じなかった否か

    という2つの要素の有無によって判断されます。

    そして、過去の裁判例によれば、ゴルフ競技は、使用される球の性質上、競技者の打った球が他の競技者に当たった場合、重大な障害を負わせるおそれがあることは明らかであるから、競技者が球を打つ場合は、周囲の状況や、飛んでいる球の方向や距離から推測して、同伴競技者等に当たらないように十分注意を払う義務があるとされています(名古屋地判平成14年5月17日)。

    ゴルフ場におけるプレーヤーの場合、打ったボールが他のプレーヤーやキャディーに衝突する等の事故の発生が予見される状況が多いと考えられることから、プレーヤーに対して注意義務が発生していることが通常であるかと思います。
    このような状況下で、加害行為をしたプレーヤーが、たとえばボールを打つ前に、他のプレーヤーがコースから完全に離脱したことを十分に確認するといった適切な措置を講じなかった場合など、事故発生を回避する措置をとらなかった場合には、「過失」があると判断される可能性があります。

    もっとも、「過失」という概念は法的評価を伴うものですから、その有無については判断が困難な場合も少なくありません。事案によっては事実関係などについて詳細な調査が必要となる場合もあるでしょう。

  2. (2)請求するべき相手は誰か

    次に、請求する相手方を検討します。
    具体的には、ショットを打った加害者だけではなく、ゴルフ場のコース構成や安全対策に問題がなかったか、または責任者が、事故が発生しないように十分な注意を払っていたかという点も考えるべきです。

    請求相手が複数存在すると考えられるときには、特定の相手方に絞らずに、全相手方に対して請求することも検討したほうがよい場合もあります。

  3. (3)損害賠償の金額を算出

    ●治療費
    事故で受けたケガを治すための入院費や治療費などの補償です。そのほか通院のための交通費が認められるケースもありますし、付き添いが必要であればその看護費も含まれることもあります。
    いずれも領収書等の根拠となる資料が必要となる場合が多いことから、保管しておくことを強くおすすめします。

    ●休業損害・逸失利益
    休業損害とは、事故により受けた傷害を治療するために休業を余儀なくされ、その間収入を得ることができなかったことによる損害をいいます。
    会社員であれば、通常は休業によって減収した分の給与、事業を行っている経営者であれば、原則減少した収入が対象となります。後遺障害が認定された場合には、その障害に伴う逸失利益(後遺障害が残らなければ将来得られただろうと想定される利益)分も請求できる可能性があります。

    ●慰謝料
    ゴルフのプレー中にケガをし、入通院を余儀なくされた場合、被害者は、精神的苦痛を被ったとして、加害者に対して慰謝料を請求することができる場合があります。
    慰謝料の金額の算定にあたっては、様々な事情が考慮されますが、通常、ケガの程度の軽重、入通院期間、後遺障害の有無などが主に重視されることになります。

  4. (4)過失の度合い

    上記のような項目が損害として認められても常に全額支払いが認められるわけではなく、被害者側に過失がある場合、その過失割合に応じて、過失相殺が行われ、請求額が減額されることがあります。

    被被害者にも過失があると認められる事例としては、被害者が事故現場のゴルフ場に精通しており、職務上事故を回避する義務がある場合や、ゴルフボールに気を取られ加害者側の行動を確認していなかったなど自分が危険を避ける注意義務をしていなかった場合などが挙げられます。

3、損害賠償は弁護士に依頼するとメリットが大きい!

ゴルフのプレーで発生した事故により、加害者に対して損害賠償を請求する場合、あなた自身で加害者に対して賠償を求めることもできますが、弁護士に依頼した方が、あなたにとって、より有利に解決することができる可能性が高くなります。本項ではその理由について解説します。

  1. (1)損害賠償金額が上がる可能性がある

    ゴルフプレーヤーであれば、多くの場合、ゴルフ保険をはじめとした傷害保険に加入しているかと思います。その場合、交渉相手が保険会社になるケースが多いと考えられます。しかし、保険会社の担当者は損害賠償補償の経験が豊富です。また、保険会社ごとに損害賠償補償の計算基準は定められていて、十分な補償が受けられないこともあります。

    加害者が保険に加入していない場合、加害者と直接交渉することになります。しかし、法的知識の乏しい個人同士の交渉となれば、あなた自身にとって不利な金額で合意をしてしまう可能性も否定できません。

    ですが、弁護士に依頼することで、過去の裁判例や法的知識をベースとした交渉が可能となります。相手側が保険会社であれば、保険会社側で規定している計算基準ではなく、裁判例等に基づいた適切な損害賠償の金額で解決できる可能性を高めることができるでしょう。

  2. (2)必要書類のアドバイスを受けられる

    保険会社と損害賠償の話を進める上で、病院での治療などが発生した際の根拠となる資料を求められることが一般的です。どのような書類が証拠となるかを交渉前に確認し、あなた自身が不利な状況に陥らないよう、十分に注意する必要があります。

    具体的には、病院の領収書だけあれば請求できると想定していたところに、治療の内容を確認できる書類を求められるケースは少なくないでしょう。場合によっては、再度病院に赴いて発行してもらわなければならないこともあり、結果として手間も費用も要してしまうケースもあります。事故による傷病を患っている状況で、些細なことで手を煩わせることはあなた自身にとって非常に大きな負担となります。

    弁護士に依頼することで、あらかじめ適切なアドバイスを受けられるため、書類の準備などで何度も手間をかける必要はありません。

  3. (3)裁判での負担軽減

    損害賠償請求で裁判を起こすことになった場合、手続が終了するまでに年単位の時間がかかるケースが多いかと思います。交渉段階から弁護士に依頼すれば、訴訟に移行することを可能な限り回避し、早期に解決できる可能性を高めることができます。

    仮に、訴訟となってしまった場合でも、打ち合わせは必要ですが、裁判期日の出廷や、書面の作成、証拠収集などの対応を原則として弁護士に一任することが可能です。
    訴訟ともなれば、相手側も弁護士を依頼しているケースが一般的ですし、被害者自身で賠償を請求しようとすると、裁判の準備のための証拠集めや書面準備に時間がかかる可能性が高く、ご自身にとって多大な負担になります。そのため、訴訟となってしまう前の段階から弁護士に依頼することで、裁判手続や準備の負担を軽減することにもつながるでしょう。

4、まとめ

過去にあったゴルフ事故の実例では損害賠償が認められているケースが多々あります。発生してしまったゴルフ事故の責任の所在や、事故の過失割合についてある程度の見通しを立てて請求する必要があります。

準備を負担に感じている方や、相手側や保険会社が提示する損害賠償金額に納得できないと考えている方は、弁護士に相談することをおすすめします。適切な損害賠償額についての法的なアドバイスを行うことができるでしょう。まずは、ベリーベスト法律事務所へお問い合わせください。滋賀草津オフィスの弁護士が、解決までのサポートを行います。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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