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家裁送致|送致されたその後の流れや、処分の種類について解説

2024年01月30日
  • 少年事件
  • 家裁送致
  • その後
家裁送致|送致されたその後の流れや、処分の種類について解説

令和4年の滋賀県草津市における刑法犯認知件数は830件でした。

20歳未満の「少年」が罪を犯した場合などには、少年事件として「家裁送致」が行われます。少年事件では、少年に対する懲罰ではなく少年の更生が重視されます。そのため、少年事件が家裁送致された後には、通常の刑事事件とは異なる形で手続きが進行するのです。

本コラムでは、少年事件における「家裁送致」の概要や家裁送致後の手続きの流れ、処分の種類などについて、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。

1、家裁送致とは?

「家裁送致(家庭裁判所送致)」とは、少年事件の捜査書類と少年の身柄(少年が身柄拘束されている場合)を、司法警察員(警察官)または検察官が家庭裁判所に送致することをいいます。

少年事件の対象となるのは、以下のいずれかに該当する場合です(少年法第3条第1項)。

① 14歳以上の少年(=20歳未満の者)が罪を犯した場合(犯罪少年)

② 14歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為をした場合(触法少年)

③ 少年について次のいずれかの事由があり、その性格・環境に照らして、将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある場合(虞犯(ぐはん)少年)
  • 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
  • 正当の理由がなく家庭に寄り付かないこと
  • 犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること
  • 自己または他人の徳性を害する性癖のあること


検察官による家裁送致が行われるのは、上記①の場合です。
少年が犯罪について捜査の対象となった場合、司法警察員または検察官によって、事件はかならず家庭裁判所に送致されます(少年法第41条、第42条)。
これを「全件送致主義」といいます。

家庭裁判所は、少年による犯罪の内容や家庭環境などを調査したうえで、少年に対して保護処分等を行います。
通常の刑事事件では主に地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所が審理を行いますが、少年事件の審理は家庭裁判所が行うことが、大きな違いだといえるでしょう。

2、家裁送致・その後の手続き①|家庭裁判所の調査

司法警察員または検察官による家裁送致が行われた後、家庭裁判所は少年事件に関する調査を行います。

  1. (1)家庭裁判所調査官による調査

    少年事件の調査を主に担当するのは、家庭裁判所調査官です。
    家庭裁判所調査官は、少年本人や家族などと面談を行い、少年の家庭環境や性格、交友関係などを調査します。

    更生に主眼が置かれている少年事件では、家庭裁判所調査官による調査結果が、少年に対する処分の決定に大きく影響を及ぼします

  2. (2)少年鑑別所における観護措置

    少年の性格を詳しく分析する必要があるなど、家庭裁判所が審判のために必要と判断した場合には、少年に対する観護措置を決定することができます(少年法第17条第1項)。

    観護措置は、在宅の場合と少年鑑別所に送致される場合の2パターンがありますが、多くの場合には少年鑑別所送致が選択されます
    少年鑑別所では、最大4週間の行動観察が行われます。

3、家裁送致・その後の手続き②|家庭裁判所の審判

少年に関する調査が済んだ後、家庭裁判所による少年審判手続きが行われます。

  1. (1)少年審判手続きの流れ

    少年審判手続きは、家庭裁判所において行われます。

    少年審判当日の流れは、以下のとおりです。

    ① 本人確認・黙秘権の告知
    人定質問により少年本人であることを確認した後、裁判官から黙秘権が告知されます。

    ② 非行事実の審理(裁判官による質問)
    家庭裁判所が非行事実の有無・内容を審理します。

    裁判官は少年に対して、生い立ち・学校の状況・将来の夢など人格に関する事項に加えて、非行の動機・非行の状況・反省の有無・被害者への思いなど、非行に関する事項を質問します。また、保護者に対しても、家庭環境や監督状況などを質問されることがあります。

    通常の刑事裁判とは異なり、証拠調べは基本的に行われません。
    ただし、少年側が非行事実について争う場合は、例外的に証拠調べが行われることもあります。

    ③ 付添人・調査官による質問
    付添人は、少年事件における弁護人のような立場です。
    少年の処分を決めるために重要な事柄について、家庭裁判所により質問がなされなかったときは、付添人が補充的に質問をします。

    また、少年の調査を担当した家庭裁判所調査官も、少年に対して質問することがあります。

    ④ 少年の最終陳述
    審理の最終段階において、家庭裁判所が少年に対して意見の陳述を促します。
    少年は、反省や被害者に対する思いや「再度非行をしない」という決意など、言いたいことがあれば発言することできます。

    ⑤ 処分の告知
    家庭裁判所によって、少年に対する最終的な処分が告知されます。
    処分に不服がある場合は、告知日の翌日から2週間以内に抗告ができます(少年法第32条)。


    なお、比較的軽微な非行事案においては、そもそも少年審判が開催されない場合や、開催されても不処分になる場合があります

  2. (2)試験観察が行われることもある

    少年に対する処分を直ちに決めることが困難な場合、家庭裁判所は試験観察の決定をすることができます(少年法第25条第1項)。

    試験観察の決定がなされた場合、少年は家庭裁判所調査官の観察に付されます
    家庭裁判所調査官は、少年に対して更生に向けた指導や助言を与えつつ、少年に問題改善の自助努力が見られるかなどを観察します。

    家庭裁判所は、試験観察の結果もふまえたうえで、最終的な少年に対する処分を決定します。

4、少年事件における処分の種類

少年事件における処分には、保護処分である「保護観察」「少年院送致」「児童自立支援施設送致」と、通常の刑事手続きへ移行させる「検察官送致」があります。

  1. (1)保護処分

    保護処分には、「保護観察」「少年院送致」「児童自立支援施設送致」の3種類がありますいずれも刑罰ではなく、保護処分を受けても前科が付くわけではありません

    ① 保護観察
    少年に保護観察官や保護司の指導・監督を受けさせて、社会の中で更生を図る保護処分です。

    ② 少年院送致
    少年を少年院に収容して、矯正教育を施す保護処分です。非行が悪質であるなど、社会における更生が困難と思われる場合に行われます。

    ③ 児童自立支援施設送致
    比較的年齢の低い少年を、児童自立支援施設に収容して更生指導を受けさせる保護処分です。
  2. (2)検察官送致

    禁錮以上の刑に当たる少年犯罪について、調査の結果、その罪質や情状に照らして刑事処分を相当と認める場合、家庭裁判所は検察官に対して事件を送致します。
    これを「検察官送致」または「逆送」といいます。

    検察官送致がなされた場合、少年の処分は通常の刑事手続きによって決定されます
    具体的には、検察官が起訴処分または不起訴処分を行い、起訴処分の場合は公判手続きによって有罪か無罪か、また有罪の場合には量刑が決まります。

5、通常の刑事事件と少年事件の違い

通常の刑事事件と少年事件の主な違いは、以下の3点です。



  1. (1)少年事件は家庭裁判所による審理が原則

    少年事件については、家庭裁判所への全件送致主義が採用されています。

    刑事処分に相当する、きわめて悪質な事例を除いては、家庭裁判所が少年に対する処分を決定します

  2. (2)少年事件では更生を重視|家庭環境等の調査が行われる

    通常の刑事手続きは、あくまでも被疑者・被告人に刑罰を科すべきか否かを決定するものです。これに対して少年事件では、非行を犯した少年を罰することではなく、少年を更生させることに主眼が置かれています

    少年を更生させるためには、個々の少年に合った保護処分を行ったうえで、きめ細かいケアを続けていくことが大切になります。
    そのため、少年事件では、家庭裁判所調査官による調査や行動観察などが綿密に行われて、少年の人格に焦点を当てた審理がなされるのです。

  3. (3)正式起訴された少年に対しては、不定期刑が言い渡される

    少年事件について検察官送致が行われ、通常の刑事事件の手続きで審理されることになった場合でも、20歳以上の者と同等の刑が科されるとは限りません

    少年に対して有期の懲役または禁錮をもって処断すべきときは、長期およびその2分の1以上の短期を定めた不定期刑が言い渡されます(少年法第52条第1項)。
    この場合、長期は15年、短期は10年を超えることができません。
    少年の人格には可塑性があり、順調に構成すれば重い刑罰を科す必要がなくなることも考えられるため、特別に不定期刑が認められているのです。

    なお、18歳未満の少年に対して死刑をもって処断すべきときは、無期刑が科されます(少年法第51条第1項)。
    また、18歳未満の少年に対して無期刑をもって処断すべきときであっても、10年以上20年以下の有期の懲役または禁錮を科すことができます(同条第2項)。

6、まとめ

14歳以上20歳未満の少年による犯罪事件は、全件について家裁送致が行われます。
その後の手続きも、少年の更生を図る観点から、通常の刑事事件とは異なる流れで進みます。

少年事件の手続きについてわからないことがある方は、弁護士にご相談ください。ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスでも、少年事件についての知見が豊富な弁護士が所属しています。お子さまが事件を起こしてしまったときは、ご家族だけで悩まず、お気軽にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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