離婚時に必要な取り決め一覧|離婚前に知っておくべきこと
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夫婦が離婚する際には、親権、慰謝料、養育費、財産分与などの条件について、取り決めが必要になります。
離婚後に後悔しないためには、これらの離婚条件をしっかりと話し合っておくことが大切です。そのためには離婚時の取り決め事項を一覧にしておくとよいでしょう。
今回は、離婚時に必要な取り決め事項の一覧と離婚時に知っておくべきことについて、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。


1、離婚時に必要な取り決め一覧
離婚時に取り決めが必要な事項の一覧は、下記のとおりです。
取り決め項目 | 概要 |
---|---|
財産分与 | 夫婦の共有財産を分割する手続き |
年金分割 | 婚姻期間中の厚生年金を分割する手続き |
慰謝料 | 離婚による精神的苦痛を賠償する金銭 |
婚姻費用 | 婚姻生活を維持する費用の精算(別居時など) |
子に関する取決め | 親権、養育費、面談など |
以下、注意点なども含めて説明していきます。
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(1)財産分与
財産分与とは、離婚時に夫婦の共有財産を清算する制度です。
婚姻期間中に夫婦が築いた財産は、「共有財産」となり財産分与の対象になります。夫婦のどちらの名義であっても、お互いの協力により形成されたものであれば実質的な共有財産にあたりますので、預貯金、不動産、有価証券、保険、退職金などの財産を一覧表にまとめて漏れがないようにしておきましょう。
なお、財産分与の割合は、2分の1ずつ分けあうのが基本です。ただし互いに納得すれば、話し合いで自由に決めることも可能です。 -
(2)年金分割
年金分割とは、夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応した厚生年金を分割し、自分の将来の年金にすることができる制度です。
相手より年収が低かったり、専業主婦(夫)だったりした場合、将来の年金に加算されるため、老後の生活を少しでも楽にするためにも、忘れずに年金分割を請求することをおすすめします。
なお、年金分割は、離婚後でも請求することができますが、離婚が成立した日から2年で時効になる点に注意が必要です。 -
(3)慰謝料
慰謝料とは、離婚の原因や離婚そのものに対する精神的苦痛に対して支払われる金銭です。
配偶者にDV、不貞行為、モラハラなどの有責性がある場合には、離婚時に慰謝料を請求することができます。ただし、慰謝料を請求する際には、相手が有責性を認めないケースも少なくありません。
事前に弁護士に相談するなどしてアドバイスを受け、しっかりと証拠を集めてから話し合いを始めるよう、ご注意ください。 -
(4)婚姻費用
婚姻費用とは、夫婦が婚姻生活を維持するために必要な費用を指します。
離婚に向けて話し合いをしている夫婦であっても、別居をする場合は、まだ互いに扶養義務を負っています。そのため、収入の多い方は婚姻費用の支払いをしなければなりません。
婚姻費用の金額は、お互いの収入や子どもの人数・年齢に応じて変動しますので、裁判所が公表している婚姻費用算定表を利用するなどして適正な金額を取り決めるようにしましょう。 -
(5)子どもがいる場合は親権、養育費、面会交流など
夫婦に子どもがいる場合には、親権、養育費、面会交流の取り決めが必要になります。
親権者は、離婚時に必ず決めなければならない事項になります。子どもの幸せを最優先に考えて、どちらが親権者にふさわしい環境を用意できるかなどを重点的に話し合っていきましょう。
なお、親権者争いがあるような場合には、面会交流を充実させることで相手の納得が得られるケースもあります。そのため、親権と面会交流は、セットで話し合いを進めるのがスムーズです。
2、離婚の方法や流れ|協議離婚・離婚調停・離婚裁判
離婚には、主に「協議離婚」「離婚調停」「離婚裁判」の方法があります。
中でも夫婦の話し合いによって離婚を進める協議離婚が、もっとも一般的な手続きです。以下では、協議離婚の流れについて説明します。
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(1)感情的にならず冷静に離婚を切り出す
離婚の話し合いは、どうしても感情的になりがちです。しかし、感情的になってしまうと話し合いが進まず、協議離婚が難しくなってしまいます。
そのため、離婚を切り出す際に感情的にならないよう、冷静な第三者を交えて話し合うこともひとつの方法です。互いの親族や知人である場合、公平性が欠けてしまうことが多いため、弁護士などの第三者に同席や代理を依頼するのも有効な手段といえます。 -
(2)離婚条件を話し合う
離婚についての合意がまとまったら、次は離婚条件について話し合いを行います。話し合うべき離婚条件は、財産分与や親権など多岐にわたります。
1章を参考に、あらかじめ取り決め事項を一覧表にまとめておくと話し合いをスムーズに進めることができます。 -
(3)離婚協議書を作成する
離婚条件についても合意がまとったら、離婚協議書を作成して合意内容を記載します。
離婚協議書の作成は義務ではありませんが、口頭での合意だけでは、離婚後に約束が果たされないリスクがありますので、必ず離婚協議書を作成するようにしてください。
特に、離婚条件に財産分与、慰謝料、養育費などの金銭の支払いが含まれている場合には、将来の不払いのリスクに備えて、公正証書にしておくのがおすすめです。公正証書にすることで、将来金銭の不払いがあった場合、裁判をすることなく直ちに強制執行の申立てを行い、相手の財産から強制的に不払い分を回収することが可能です。 -
(4)離婚届を提出する
離婚協議書の作成が完了した段階で、離婚届に必要事項を記載し、本籍地または現住所の市区町村役場に離婚届を提出します。
提出方法は郵送、持参どちらでも大丈夫ですが、窓口へ持参した場合、書類に不備があればその場で指摘してもらえるため不安な方も安心です。離婚届が受理されれば、離婚成立となります。
3、離婚を切り出す前に準備すべき3つのこと
事前準備なくいきなり離婚を切り出すとスムーズに離婚手続きが進まないおそれがあります。以下のような準備をしてから離婚を切り出すことをおすすめします。
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(1)相手の不貞行為やモラハラ、DVなど離婚原因に関する証拠を集める
配偶者に不貞行為などの離婚原因がある場合、話し合いでの協議離婚や調停離婚が成立しなかったとしても「法定離婚事由」をもとに裁判離婚をすることが可能です。
裁判離婚では証拠が重視されます。離婚原因が相手の不貞行為、モラハラ、DVなどである場合には、それを証明するための証拠を集めるようにしましょう。
また、証拠があると、配偶者の有責性を理由に慰謝料請求することも容易になります。有利な条件で離婚をするためには離婚原因や有責性に関する証拠が必要不可欠となりますので、しっかりと証拠を集めてから離婚を切り出すようにしてください。 -
(2)相手の財産を調査する
公平な財産分与を実現するには、お互いがすべての財産を開示し合う必要があります。しかし、実際には一部の財産を隠す方もいます。
そのため、隠し財産の可能性がある場合は、財産分与の交渉前に相手の財産を調査することが大切です。夫婦関係が悪化してからでは、財産の開示はより難しくなるため、離婚を切り出す前に財産調査を進めていきましょう。
もっとも、個人での調査にはどうしても限界があります。これ以上の調査が難しいと感じたときは弁護士に依頼するのも有効な手段です。 -
(3)別居するための準備
離婚後の住居確保は、できるだけ早めに進めることをおすすめします。特に専業主婦の方が離婚する場合、離婚後は自分の収入で生活していかなければなりませんので、仕事探しも並行して行う必要があります。
離婚により自宅を出ていく予定の方は、自活の方法と併せて、早めに物件を探すなどの行動に着手するようにしましょう。
4、離婚を決断したときに弁護士に相談するメリット
以下のようなメリットがありますので離婚を決断したときは、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
お問い合わせください。
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(1)離婚の条件や権利について法的なアドバイスを受けられる
離婚時にはさまざまな離婚条件の取り決めが必要になります。離婚後も安定した生活を送るためにも、適切な条件で離婚するために、取り決めや交渉前に、まずは弁護士に相談をするようにしましょう。
弁護士は、状況を踏まえて取り決めるべき条件を一覧にまとめ、離婚に向けて何をすべきか明確にします。また、離婚条件の決め方や相場などのアドバイスしてくれますので、それに従って話し合いを進めればスムーズに離婚することができるでしょう。 -
(2)不利な条件で離婚が成立しないようにサポートしてくれる
協議離婚は、基本的には夫婦の話し合いで離婚条件の取り決めを行いますので、知識や経験がなければ不利な条件であることに気付かずに離婚に応じてしまうリスクがあります。
弁護士に依頼すれば、適正な離婚条件で離婚できるようサポートしてもらうことができますので、そのような心配はありません。特に、養育費、慰謝料、財産分与など金銭的な条件が不利な内容になると、離婚後の生活にも大きな影響を与えますので、専門家である弁護士のサポートが不可欠です。 -
(3)相手との交渉を任せられる
弁護士に依頼すれば相手との離婚の話し合いを弁護士にすべて任せることができますので、精神的な負担を大幅に軽減することができます。
特に、DVやモラハラが離婚原因である場合、当事者だけで話し合いをするのは危険ですので、弁護士に対応を任せた方がよいでしょう。 -
(4)慰謝料請求の手続きなどをお願いできる
配偶者よる不貞行為が離婚原因であれば、配偶者以外にも不倫相手に対して慰謝料請求が可能です。弁護士に依頼すれば、不倫相手に対する請求も一緒にお願いすることができます。
また、財産分与を請求する際には、その前提として財産調査が必要になりますが、弁護士に依頼をすれば弁護士会照会や裁判所の調査嘱託などの手続きにより、相手の財産を明らかにすることができます。
5、まとめ
離婚時には、財産分与や年金分割、子どもがいる場合は親権や養育費など、さまざまな取り決めが必要になります。また、財産分与や慰謝料請求のためには、証拠収集や財産調査などの事前準備が重要です。
こうした取り決め事項をもれなく処理し、事前準備を適切に進めるためにも、弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けるのが得策です。
ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスには、離婚問題の解決実績が豊富な弁護士が在籍しております。まずはお気軽にご相談ください。
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