結婚してない相手の浮気で慰謝料を請求できる？ 請求可能な条件を紹介

浮気の慰謝料は、民法709条の「不法行為」を根拠として請求します。不法行為とは、故意や過失によって他人に損害を与えることです。

浮気によって不法行為が成立し慰謝料を請求できるかは、以下の通り、「結婚しているかどうか」が判断のポイントになります。

ただし、結婚してない相手の浮気でも、一定の例外的なケースについては慰謝料が発生することがあります。これについては次章で詳しく説明します。

前述の通り、原則として、結婚してない相手が浮気をしても慰謝料請求をすることはできません。しかし、以下のようなケースでは、例外的に慰謝料請求が可能です。

1. （1）婚約していた場合

   婚約とは、男女が将来結婚する約束をすることをいいます。婚約には、特に決められた形式はなく、お互いの合意のみで成立します。婚約が成立した男女間においては、婚姻関係に準じる関係にあると考えられていますので、婚約者以外の第三者と肉体関係を持たないという貞操義務が課されます。
   
   そのため、婚約した相手が自分以外の異性と浮気をしていた場合、慰謝料請求をすることができます。

2. （2）内縁関係にある場合

   内縁関係とは、お互いに結婚する意思があり、夫婦としての行動生活を送っているものの、婚姻届の提出をしていない状態をいいます。婚姻届を提出していませんので、法律上の夫婦ではありませんが、それ以外は法律婚の夫婦と変わらない生活を送っています。
   
   そのため、内縁関係にある相手が自分以外の異性と浮気をしていた場合、慰謝料請求をすることができます。

3. （3）相手が既婚者だった場合

   交際相手の浮気を問い詰めたところ、実は、交際相手が既婚者であり、自分が浮気相手だったというケースもあります。
   
   交際相手が既婚者であることを知らずに交際していた場合には、貞操権侵害を理由として交際相手に対し、慰謝料請求をすることができます。
   
   ただし、相手が既婚者であることを知った上で交際していた場合には、貞操権侵害はなく、慰謝料請求はできません。それだけではなく、交際相手の配偶者から不貞行為を理由とする慰謝料請求をされる可能性もありますので注意が必要です。

未婚・独身の恋人の浮気に対して慰謝料請求するには、証拠が必要になります。以下では、「婚約」「内縁」「未婚（独身）の恋人の浮気」に対して、慰謝料請求するために必要な証拠を説明します。

1. （1）婚約を立証するための証拠

   婚約は、当事者の合意のみで成立しますが、合意の有無は客観的に明らかではありませんので、以下のような証拠に基づいて婚約の成立を立証するのが一般的です。
   

   • 結納の授受
   • 婚約指輪を購入した際の発注書
   • 結婚式場の予約申込書
   • 新婚生活のための賃貸借契約書

2. （2）内縁関係を証明できるもの

   内縁関係があったということを証明するためには、以下の2点を立証しなければなりません。
   

   1. ① お互いに婚姻意思を持っていること
   2. ② 一定期間同居をしており、夫婦同然の共同生活の実態があること
   
   
   

   このような内縁関係の条件を立証するために必要な証拠としては、以下のものがあります。
   

   • 住民票の続柄に「夫（未届）」、「妻（未届）」との記載がある
   • 賃貸借契約書の同居人欄に「内縁の夫」、「内縁の妻」などの記載がある
   • 相手の被扶養者として相手が加入する健康保険の保険証を持っている
   • 給与明細に扶養手当（家族手当）を受け取っている記載がある

3. （3）未婚（独身）の恋人の浮気を証明できるもの

   慰謝料請求をするには、恋人が浮気をしていたことも証拠によって立証しなければなりません。
   
   慰謝料請求が可能な浮気とは、一般的に恋人以外の第三者との肉体関係をいいます。そのため、恋人が肉体関係を持っていたことを立証する必要がります。
   
   慰謝料請求で必要な浮気の証拠は、以下のものが挙げられます。
   

   • 性行為をしている状況を撮影した動画、写真
   • ラブホテルに入っていくところを撮影した動画、写真
   • ラブホテルを利用した際のレシートやクレジットカードの明細書
   • 浮気相手とのメールやLINEの履歴
   • 浮気をしていたことを認めた会話の録音

恋人の浮気相手に対して慰謝料請求できるのでしょうか。以下では、慰謝料請求ができるケースとできないケースを紹介します。

1. （1）浮気相手に慰謝料請求できるケース

   男女が内縁関係にある場合、婚姻関係に準じるものとして、一定の法的保護が与えられていますので、結婚している配偶者と不倫した相手への慰謝料請求と同様に考えることができます。すなわち、内縁の配偶者と浮気した相手に対して、慰謝料請求をすることができます。
   
   ただし、内縁の配偶者と浮気した相手への慰謝料請求にあたっては、相手が内縁関係の存在を知っていたか認識できる状態であったことが必要になります。その証明は、必ずしも容易ではありませんので、立証の観点で苦労するケースも少なくありません。

2. （2）浮気相手に慰謝料請求できないケース

   男女が婚約関係にある場合、当事者間では貞操義務が存在しますので、浮気をした婚約者に対しては、貞操義務違反を理由として損害賠償請求を行うことができます。
   
   しかし、貞操義務は、あくまでも当事者間の義務にとどまりますので、婚約者の浮気相手に対して慰謝料請求するのは難しいでしょう。
   
   ただし、婚約者の浮気相手が婚約を破棄させることのみを目的として浮気をしていた場合や社会的相当性を欠く方法で一方的に干渉して浮気をした場合には、慰謝料請求が可能です。

恋人への慰謝料請求をお考えの方は、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

1. （1）弁護士に相談するメリット

   婚姻関係にある配偶者の浮気とは異なり、結婚してないパートナーの浮気は、原則として慰謝料請求ができず、一定の条件を満たす場合に例外的に請求できるにすぎません。
   
   ご自身のケースで慰謝料請求が可能なケースであるかを判断するには、男女トラブルの解決実績がある弁護士のアドバイスが重要です。
   
   弁護士は、具体的な状況に応じて慰謝料請求の可否を判断し、必要な証拠収集のサポートもします。また、浮気をしたパートナーへの慰謝料請求も弁護士に一任できますので、慰謝料請求にかかる負担を大幅に軽減できるでしょう。

2. （2）弁護士への相談の流れ

   ほとんどの弁護士事務所が法律相談については予約制になっています。そのため、相談を希望する場合には、まずは弁護士事務所に連絡をして、相談の予約を入れるようにしましょう。
   
   予約は対面のほか、オンライン面談ができる事務所もあります。相談時間は、一般的には30分～1時間程度と限られていますので、効率よく質問できるよう、あらかじめ相談内容やこれまでの経緯などをメモにまとめておくことをおすすめします。

3. （3）慰謝料請求の流れ

   弁護士に浮気の慰謝料請求を依頼した場合には、以下のような流れで進めていきます。
   

   1. ① 弁護士名で慰謝料の支払いを求める内容証明郵便の送付
   2. ② 相手との交渉
   3. ③ 交渉により合意が成立したときは、合意書の作成
   4. ④ 交渉により合意が成立しないときは、訴訟提起
   
   
   

   話し合いで解決できないときは、最終的に訴訟を提起して解決を図ることになります。弁護士に依頼をしていれば、交渉から引き続いて訴訟の対応もしてもらえますので、最後まで安心して任せることができます。

恋人が浮気をしたとしても、原則として慰謝料請求はできません。ただし、内縁関係にあることや婚約していたことを証明できるのであれば、相手に対して慰謝料請求できる可能性があります。

ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスでは、男女トラブルの解決実績がある弁護士が、随時ご相談を受け付けております。ご相談は対面もオンラインも可能です。おひとりで悩まず、まずはお気軽にご連絡ください。