交通事故被害者がもらえるお金の種類は? 弁護士が教える増額のコツ
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草津市が公表している交通事故に関する統計資料によると、令和5年に草津市内で発生した交通事故の件数は336件でした。
交通事故の被害に遭った場合、被害者にはさまざまな損害が発生します。損害の種類や内容によって被害者がもらえるお金も変わってきますので、適正な賠償金の支払いを受けるためにも、基礎知識を身につけておくことが大切です。
今回は、交通事故被害者がもらえるお金の種類と増額のコツについて、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。


1、交通事故被害者がもらえるお金の種類
交通事故被害者がその人的損害に関してもらえるお金には、以下のような種類があります。
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(1)積極損害
積極損害とは、交通事故が起きなければ支出しなかった費用をいいます。交通事故の積極損害としては、代表的なものとして以下の項目が挙げられます。
積極損害の項目 概要 治療費 病院で支払った治療費、手術費、薬代などは、必要かつ相当な実費全額が損害として認められます。
整骨院での施術など、医師の指示を受けていない治療は損害として認められない場合があります。通院交通費 通院時の交通費も損害として請求できます。
公共交通機関を利用していた場合は実費全額、自家用車を利用していた場合は1キロメートルあたり15円で計算したガソリン代が損害として認められます。
駐車場も対象と認められるため、領収証を保管しておきましょう。入院雑費 入院時の日用品も入院雑費として請求できます。 付添看護費 本人だけでは入院や通院が困難な場合、付き添いにより生じた費用を請求できます。
付添看護費の必要性については、医師の指示、怪我の程度、被害者の年齢などにより判断されます。
費用請求の際には以下の書類が必要となる場合があるため「医師の診断書」「診療明細書」「入院証明書」「領収書」などを保管しておくことをおすすめします。
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(2)消極損害
消極損害とは、交通事故で本来得られるはずの利益が失われてしまったことによる損害です。交通事故の消極損害としては、以下の項目が挙げられます。
消極損害の項目 概要 休業損害 交通事故で仕事を休んでことにより生じた減収分の損害です。
原則として、交通事故が起きた時点で働いていた人に認められる損害ですが、主婦(主夫)も対象です。家事労働は厚生労働省の「金賃金センサス」の評価に基づき請求できます。後遺障害逸失利益 後遺障害の影響で将来得られるはずの収入が失われたことによる損害です。
後遺障害逸失利益の請求にあたっては、症状固定後に後遺障害等級認定を受ける必要があります。死亡逸失利益 交通事故で死亡したことにより将来得られるはずの収入が失われたことによる損害をいいます。 -
(3)精神的損害
精神的損害とは、交通事故により被害者等が受けた精神的苦痛を賠償するものになります。交通事故の精神的損害には、以下の3つの慰謝料があります。
精神的損害の項目 概要 入通院慰謝料 交通事故で負傷し入院や通院を余儀なくされたことによる精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
金額は、治療期間や怪我の状態、通院頻度などにより決定します。後遺障害慰謝料 交通事故で後遺障害が生じたことにより生じた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
認定を受けた「後遺障害等級」によって金額が決まります。死亡慰謝料 交通事故で死亡した被害者本人および遺族に生じた精神的苦痛に対して支払われる慰謝料です。
2、受け取れるお金の相場は? 金額は自分で決められる?
交通事故でもらえるお金はどのように決められるのでしょうか。
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(1)交通事故でもらえるお金は自分では決められない
交通事故の賠償金の金額は、一定程度基準化・定額化されているため、もらえるお金を被害者が自分で決めることはできません。
被害者自身でもらえるお金を決められると、同様の事故でも被害者ごとに損害額が異なり不公平な結果になってしまいます。また、賠償額の決定に長期間を要してしまい、迅速な被害回復を妨げるおそれがあります。
このような理由から、交通事故の賠償金には一定の算定基準が設けられています。 -
(2)交通事故でもらえるお金の3つの算定基準
交通事故でもらえるお金には、以下の3つの算定基準が設けられています。
自賠責保険基準 自賠責保険会社が保険金を支払う際の算定基準 任意保険基準 任意保険会社が保険金を支払う際の算定基準 裁判所基準(弁護士基準) 過去の裁判例などを踏まえて基準化された算定基準
どの基準を選択するかによって、交通事故でもらえる金額は大きく変わります。
一般的には、「自賠責保険基準 ≦ 任意保険基準 < 裁判所基準」の順で大きくなります。そのため、十分な賠償金の支払いを受けるためには、「裁判所基準」により算定した賠償金を請求することが重要になります。
3、もらえるお金をより実態に即したものにする方法
交通事故でもらえるお金を実態に即したものにするためには、以下のような対応が必要になります。
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(1)医師の指示に従い適切な治療を受けること
交通事故の被害に遭っても、仕事や家事・育児などで忙しい方は、なかなか通院の時間を確保するのが難しいかもしれません。
しかし、入通院慰謝料は、入通院期間や実際の入通院日数を基準に算定されますので、通院期間が短いと適正な慰謝料をもらえない可能性があります。また、後遺障害等級認定を受ける際にも治療経過や治療期間などが重視されますので、自己判断で治療を終了してしまうと、適切な後遺障害等級認定が受けられなくなる可能性もあります。
そのため、まずは医師の指示に従って適切な治療を受けることが大切です。 -
(2)適切な後遺障害等級認定を受ける
怪我の治療を続けてもこれ以上症状の改善が見込めない状態になると「症状固定」と判断されます。症状固定と診断された後も何らかの後遺症が残っている場合には、後遺障害等級申請を行う必要があります。
後遺障害等級申請により認定された等級は、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の計算において考慮されますので、実態に即した賠償金の支払いを受けるには、症状に応じた適正な後遺障害等級認定を受けることが大切です。 -
(3)裁判所基準で請求する
前述の通り、一般的に被害者にとってもっとも有利な金額になるのは裁判所基準により計算した場合です。保険会社から提示される賠償金は、裁判所基準による賠償金と比較して低い金額になっていますので、提示された金額ですぐに示談に応じてはいけません。
弁護士に依頼するなどして裁判所基準により計算した賠償金を請求するようにしましょう。
4、早いタイミングから弁護士に相談しておくメリット
交通事故でもらえるお金を適正な金額にするためにも、早いタイミングから弁護士に相談しておくことがおすすめです。
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(1)自己判断でもらえるお金が減るのを回避できる
交通事故でもらえるお金を増額するには、裁判所基準により賠償金を計算し、請求する必要があります。
しかし、裁判所基準で請求するためには、弁護士に依頼して保険会社と交渉しなければなりません。被害者自身による交渉では、裁判所基準で計算した賠償金の請求に保険会社が応じることは少ないです。
また、保険会社から提示された賠償金が適正なものであるかは、一般の方では判断が難しいため、示談に応じる前に一度弁護士に判断してもらうとよいでしょう。 -
(2)後遺障害等級認定のサポートが受けられる
適正な後遺障害等級認定を受けるには、怪我の治療の段階から弁護士に相談することが重要です。
後遺障害の認定では、治療経過、治療期間などが考慮されます。被害者自身の自己判断で誤った対応をしてしまうと適正な後遺障害が受けられない可能性があります。また、後遺障害等級認定の手続きは、後遺障害診断書の記載内容が重視されますが、被害者自身ではどのような項目についてどのような記載が必要であるか判断できません。
そのため、適正な後遺障害等級認定を受けるためにも治療中から弁護士のサポートを受けておくようにしましょう。 -
(3)自身で保険会社と対応しなくてよい
加害者が任意保険に加入している場合、基本的には加害者側の保険会社との間でやり取りをしていくことになります。
しかし、怪我の治療のための通院、仕事や家事・育児などで忙しい状況で、保険会社とのやり取りもしなければならないのは大きな負担となります。弁護士に依頼すれば、保険会社との対応をすべて任せることができますので、被害者自身の負担を大幅に軽減することができます。
5、まとめ
交通事故でもらえるお金には、さまざまな項目があり、一定の算定基準に従って金額が計算されます。保険会社から提示された示談金が適正な金額とは限りませんので、自己判断で示談に応じてしまうのではなく、弁護士に相談するのがおすすめです。
ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームは、医療コーディネーターと連携し、最適な賠償金(慰謝料・示談金)を獲得するために、事故の被害者さまをサポートします。
交通事故でもらえるお金について不安がある、適正なものであるか判断に迷うときは、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスまでお気軽にご相談ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています