追突事故の被害に遭った人が弁護士に依頼すべき3つの理由
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滋賀県内の令和2年交通事故発生件数は2893件で、その内49名が亡くなっています。
車同士の交通事故の中で一番大きい割合を占めるのが追突事故です。追突事故の被害に遭った場合は、車のことだけでなく体のことも含め、加害者側の保険会社と賠償について話し合わなければなりません。
ケガを負った場合は、保険会社との交渉は非常に大変で、ストレスを抱える方が少なくありません。多くの被害者が自身で交渉したもののうまくいかずに弁護士に交渉を一任しています。
今回は、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が、追突事故の被害者が交渉を弁護士に依頼すべき5つの理由について解説いたします。
1、追突事故の被害に遭った場合は自分の保険会社を利用できない理由
追突事故の被害に遭った場合、被害者は、通常であれば加害者の保険会社から賠償金を受け取ります。そして、多くの場合、その際の交渉はすべて自分でする必要があります。
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(1)非弁行為になるから自分の保険会社は交渉できない
被害者としては、「保険に加入しているから保険会社同士で交渉をしてほしい」と考えますが、自身に過失が全くない事故の場合、被害者側の保険会社が間に入って交渉することはできません。
過失がない被害者の代わりに交渉した場合、「非弁行為」という法律違反になってしまうからです。
弁護士法では、弁護士資格がない者が報酬を受け取り、代理人として交渉することを禁じています。被害者にも過失がある場合は、保険会社も保険金を支払う当事者の一部ということで交渉が認められます。
しかし、過失がなければ保険金を支払うことはありませんので、交渉することができないのです。 -
(2)無過失の事故でも支払われる保険金があるため一応報告はしておくこと
追突事故の場合、被害者の車の修理費用やケガの治療費、慰謝料などは、原則的に加害者側の保険会社から全額支払われます。
しかし、人身傷害保険や搭乗者傷害保険、車両保険などから保険金の一部が支払われる可能性がありますので、該当する保険に加入している場合には報告しておきましょう。なお、弁護士特約に加入している場合は、弁護士費用を支払ってもらえます。
2、相手保険会社との交渉で発生しがちな問題
加害者側の保険会社の担当者は、あくまでも「加害者側」の立場で交渉に臨みます。
親切丁寧に対応をしていますが、被害者の利益が最優先ではありません。そのような事情もあり、さまざまな局面で対立する可能性もあります。
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(1)治療日数が多すぎるという指摘
追突事故で多くの方が苦しむ頸椎(けいつい)捻挫では、リハビリのために頻繁に通院する方が少なくありません。
しかし、保険会社の担当者によっては、できるだけ「自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)」の限度額を超えないようにと考えて、交渉をしてくることもあります。被害者の通院日数が多いと支払う治療費や慰謝料が高額になるため、治療頻度をけん制しようとする可能性もあります。
実際には、医師が認めている通院は正当なものであり、保険会社が阻止することはできません。
しかし、示談交渉が初めての被害者の場合、保険会社という権威的な立場から「たくさん通わないように」と言われると、その提案を受け入れてしまうこともあります。 -
(2)治療の打ち切り交渉
加害者の保険会社の担当者は、早ければ3か月、遅くても6か月たつと、治療の打ち切りや症状固定を提案してきます。その際は、もっともらしい理由や専門用語とともに説得するケースもあります。
保険会社は支払保険金の支出をできるだけ減らし、解決の先送りを避けたいと考えているため、6か月を過ぎての通院は非常に困難な可能性があります。
しかし、追突事故の被害者の多く苦しんでいる頸椎(けいつい)捻挫は、6か月で完治することは少なく、継続した治療が必要となります。
また、治療が完了しない場合には、「後遺障害等級認定」を受ける必要があります。「後遺障害等級認定」については後述します。
当然ですが、加害者の保険会社の担当者は被害者の代理人ではありません。そのため、治療を継続させることはほとんどありません。また、「後遺障害等級認定」についても、積極的に動く可能性は低いといえます。
3、追突事故の被害者が弁護士に依頼すべき3つの理由
追突事故の被害者が、保険会社との交渉を弁護士に一任した場合、上記のような問題が生じにくく、交渉がスムーズに進む場合が多いといえます。
ここでは、依頼すべき3つ理由を解説します。
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(1)慰謝料の増額が見込める
交通事故の慰謝料の計算方法は、3つあります。「自賠責基準」「任意保険基準」「裁判所基準(弁護士基準)」です。保険会社と被害者が直接交渉する場合は「自賠責基準」または「任意保険基準」が適用されます。しかし、弁護士に依頼した場合は1番高額な「裁判所基準」で計算できます。
「裁判所基準」で計算した場合、同じ通院期間や症状でも、「自賠責基準」と比較して多くの慰謝料を受け取ることができる可能性があります。これだけでも弁護士に依頼する大きな理由になるでしょう。
自身で交渉して「裁判所基準」での支払いを求めても、認められる可能性は極めて低いといえますが、弁護士に依頼した場合には、裁判にならなくても「裁判所基準」に近い金額で慰謝料が計算されます。 -
(2)交渉を一任できるため治療に専念できる
弁護士に交渉を一任する大きなメリットのひとつが治療に専念できることです。
前述の通り、保険会社との示談交渉では、保険会社の担当者と意見が対立する局面も少なくありません。その度に貴重な時間が削られて、仕事などへの支障が出てくる場合もあるでしょう。
弁護士に依頼した場合は、大変な交渉を一任できるため、被害者は治療に専念することができます。弁護士と保険会社が交渉するため、被害者は、保険会社の担当者と顔を合わす必要はありません。交通事故に関わる交渉のストレスはほぼゼロといってもよいでしょう。 -
(3)後遺障害等級が認定されやすくなる
追突事故の被害に遭った場合、長期間通院することもあります。そして、長期間の通院でも症状が改善されなかった場合は、「後遺障害等級認定」を受けられる可能性があります。
「後遺障害等級認定」とは、残った症状の大きさや部位などに応じて、後遺障害の重さを決めるものです。これが認定されると、ケガの慰謝料だけでなく、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができるため、賠償金が増額する可能性があります。
しかし、「後遺障害等級認定」の手続きは非常に難しいものといえます。
保険会社に一任はできますが、保険会社の担当者はあくまでも加害者側の立場なので、認定されやすいような手続きを行わない可能性があります。
被害者が「後遺障害等級認定」を受けたい場合、「被害者請求」という手続きの必要があります。被害者請求は、「事前認定」と異なり、自分で自分に有利な医証を作成し提出できるというメリットがあります。しかし、被害者請求は、資料収集など申請手続きを自分で行う必要があるので、手間がかかるというデメリットがあります。
また、認定されやすいような証拠の集め方、書類の形式などについて、当然ですが被害者は慣れていないことが多く、時間がかかってしまいます。
しかし、これら手続きを弁護士に依頼すれば「後遺障害等級認定」のすべてを任せることができるため自分で書類を集める必要はありません。
また、「後遺障害等級認定」の対応実績豊富な弁護士であれば、納得できる「後遺障害等級認定」を得られる可能性がありあます。特に追突事故の被害者が多く発症する頸椎(けいつい)捻挫の場合は、「後遺障害等級認定」が難しい傾向にありますので、早めに弁護士に交渉を依頼し、交渉を進める必要があります。
4、弁護士費用はどれくらいかかる?
示談交渉を弁護士に依頼する場合、気になるのが弁護士費用です。弁護士費用の内訳は、相談料、着手金、成功報酬、事務手数料などです。
相談料は初回に、相談するための費用で30分あたり5000円から1万円が相場です。
着手金とは、案件が成功するかどうかに関わらず、弁護士との契約が完了した時点で支払う必要がある費用です。10万円から30万円に設定している事務所が多いでしょう。
成功報酬とは、弁護士に依頼したことで増額した慰謝料などから20%前後を支払うものです。
事務手数料は、一律1万円から5万円程度に設定されていることが多いでしょう。
これらの費用を合計したものが、弁護士費用になります。
総額では数十万円になることもありますが、交通事故の被害者の場合は、相談料が無料、着手金も無料という事務所もあるため、初期費用が抑えられる可能性もあります。
また、成功報酬は、示談完了後に支払うため、依頼時に支払う必要はありません。
手元にお金がない場合は、そのような対応を行う事務所への相談をおすすめします。
自身の自動車保険や火災保険、傷害保険などに弁護士費用特約が入っている場合は、弁護士費用特約を使えば、一定額まで弁護士費用を支払う必要は一切無くなります。
多くの保険会社の弁護士費用特約は上限が300万円までなので、追突事故の慰謝料請求の場合は、弁護士費用特約の範囲内で弁護士に依頼することもできます。
自身の契約だけでなく同居している家族の自動車保険や他の保険でも保険金が支払われる可能性がありますので、契約内容を確認しておきましょう。
5、まとめ
追突事故の被害に遭った多くの方が、保険会社と直接交渉することに大きなストレスを感じています。
受け取ることができる慰謝料の面でも、後遺障害等級認定の面でも、弁護士に依頼したほうが大きなメリットがあります。
追突事故に遭い、被害者となった場合には、弁護士に交渉を一任しましょう。
ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスには、追突事故の対応実績が豊富な弁護士が在籍しています。個人で保険会社と対応せずに、まずはご連絡ください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています
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