追突事故の被害に遭った際の慰謝料の請求手続きと注意点を解説
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令和元年1年間に滋賀県内で発生した交通事故は3647件、負傷者数は4592人でした。
自動車同士がぶつかる交通事故の場合、全体の約42%が追突事故です。追突事故では多くの方が、むち打ち損傷などのつらい症状に苦しんでいます。
追突事故で怪我をした場合は、相手に治療費だけでなく慰謝料を請求することができます。ただし、慰謝料を請求するためにはきちんと手順を踏む必要がありますので、確認をしながら進めましょう。
本記事では、交通事故の慰謝料請求手続きや注意点について、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。
1、交通事故で追突されたらまずすべきこと
交通事故において、追突されてからすべきことや注意事項を解説します。
追突された場合には、無条件で慰謝料を受け取ることができるわけではないので、順番に手順をクリアしましょう。
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(1)必ず警察を呼ぶこと
追突されたら、まずは警察に連絡をしましょう。交通事故が発生したら、警察に通報することは運転者の義務とされています。追突してきた加害者が警察の介入を避けたいと交渉してくるかもしれませんが、通報してください。
あなたが怪我をしていて今後過失割合等が問題となりそうな場合は、特に警察への通報が重要となります。診断書をもって警察に届け出ると、事故の状況を詳しく記録した刑事記録が警察によって作成されます。この刑事記録は今後過失割合等事故の状況が問題となった場合に有力な証拠となりますので、怪我をしていてのちに過失割合等が問題となりそうな場合には必ず警察へ届け出ましょう。
事故直後に警察を呼べなくても、後日当事者が、車とともに警察に行けば交通事故の届け出を受け付けてくれますので、必ず届けるようにしましょう。 -
(2)その場で示談の約束をしない
ごくまれに、「警察にも保険会社にも届けずこの場で示談をしよう」と相手が持ちかけてくることがあります。「20万円支払うから」などと示談に持ち込もうとしますが、応じないようにしましょう。
追突事故の場合、車の修理代や修理期間中のレンタカー代、そして怪我をしている場合は怪我の治療費や慰謝料などをしっかりと受け取る権利があります。
相手と正当な手段を踏まずに示談をしてしまうと、これらの賠償金を受け取れなくなる可能性があります。示談は示談書を取り交わさなくても口頭でも成立してしまう可能性があるので、いくら相手が好条件を提示してきても応じるのは避けましょう。 -
(3)病院を受診し通院を続ける
交通事故で「怪我をした人」は慰謝料を受け取ることができます。
怪我をしたとは、「病院を受診して交通事故で怪我をした」と記載されてある診断書が発行されている状態のことです。
「病院には行ってないけど痛みがある」、「車だけ壊れて体は元気だけど車の分の慰謝料を請求したい」などのケースでは慰謝料の請求は不可能です。体に不調がある場合、痛みが出てきてしまった場合は、必ず医療機関を受診してください。
事故直後に受診することが望ましいですが、どうしても時間が取れない場合は事故から1週間以内に受診しましょう。それ以上時間が経過してしまうと、「怪我と事故に因果関係がない」と保険会社に判断され、慰謝料を受け取れなくなる可能性があります。
また、痛みや不快な症状がなかなか治らない場合は、きちんと間を空けずに通院してください。交通事故の慰謝料は治療期間や通院日数に応じて支払われますので、通院頻度が低い場合は、受け取ることができる慰謝料が少なくなる可能性があります。 -
(4)警察に診断書を提出して人身事故に切り替えること
交通事故には「人身事故」と「物損事故」の2種類があります。
怪我をしている事故が人身事故で、怪我をしていなければ物損事故です。追突事故の場合、事故直後に被害者が救急搬送されるなどのケースでは最初から人身事故として処理されることがありますが、多くは「物損事故」として取り扱われます。
その後、被害者が診断書を警察に提出すると、人身事故に切り替わり現場検証などが行われるようになります。しかし、加害者側から「人身事故にしないでほしい」と言ってくる場合もあります。人身事故にすると、免許の点数が大幅に減点されてしまうからです。
被害者の中には、加害者に従って診断書を提出しないケースもありますが、ご自身のためにも必ず警察に診断書を提出し人身事故に切り替える必要があります。
物損事故のままでも保険会社から怪我の治療費や慰謝料を受け取ることは可能です。しかし、万が一後遺症が残ってしまった場合は、「人身事故に切り替えていない軽微な事故なのに後遺障害が発生するのはおかしい」と、後遺障害の認定を受けられなくなる可能性もあります。怪我をしている場合は、必ず警察に診断書を提出し人身事故に切り替えましょう。
2、交通事故には二つの慰謝料がある
次に、交通事故の慰謝料の種類について見ていきます。
交通事故の慰謝料には大きく分けて「傷害慰謝料」と「後遺障害慰謝料」の二種類があります。傷害慰謝料とは、怪我をした場合に支払われる慰謝料です。後遺障害慰謝料とは、後遺障害が発生し、認定された場合に支払われる慰謝料です。
傷害慰謝料は、原則として事故後に病院を受診し、交通事故による怪我であると診断されれば、受け取ることができます。傷害慰謝料の額は、通院日数や治療期間によって変化します。基本的には、通院日数や治療期間が長ければ慰謝料は増額し、少なければ少額となり得ます。
それに対して後遺障害の慰謝料は、後遺症が発生しているだけではなく、医師に後遺症があることを診断してもらった上で、損害保険料率算出機構により後遺障害等級の認定を受けなければなりません。
後遺障害等級は1等級から14等級に分類されており、1等級が一番重い後遺障害で、慰謝料の金額も大きくなっています。
後遺障害慰謝料は、誰でも受け取ることができるわけではありませんが、治療やリハビリに通っても、症状が改善しない場合は、後遺障害等級の認定を受けることを検討するとよいでしょう。
3、請求するときに知っておきたい傷害慰謝料の計算方法と三つの基準
傷害慰謝料の計算方法は、採用する計算基準によって異なります。
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(1)自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)基準
自賠責保険基準とは、政府の強制保険である自賠責保険で慰謝料を支払う際に使う計算基準です。
被害者が保険会社と直接交渉する場合の損害賠償額は、ほとんどがこの自賠責保険基準で計算されます。この自賠責保険基準は三つの計算基準の中では1番低額です。
自賠責保険基準の傷害慰謝料の計算方法がこちらです。4200円に、治療日数×2もしくは治療期間の日数の少ない方をかける
自賠責保険基準の1日あたりの慰謝料は4200円です。4200円に、治療日数の2倍もしくは治療期間の少ないほうをかけて算出します。
たとえば2か月間に40日通院をした場合、は治療日数×2は80で、治療期間は2か月だから60日。つまり、この場合は60日が慰謝料の計算対象になりますので4200円×60=25万2000円を受け取ることができる傷害慰謝料です。 -
(2)任意保険基準
任意保険基準とは、任意保険会社独自の基準です。
社内基準になっているので、保険会社によって計算方法が異なります。計算方法は公開されていませんが、自賠責保険基準と同等、もしくは少し高くなる傾向にあるようです。 -
(3)裁判基準
三つの基準の中で1番高額なのが裁判基準になります。
裁判基準とは、裁判になった際に適用される慰謝料の計算方法ですが、弁護士に交渉を依頼するだけで裁判基準によって傷害慰謝料を請求することが可能です。
裁判基準は、計算式ではなく表形式になっており、通院期間と入院期間によって、機械的に傷害慰謝料を算定します。先ほどの「2か月間通院した場合」であれば、裁判基準では慰謝料は52万円です。自賠責保険基準が25万2000円だったので2倍以上となる計算です。
同じ症状で同じ期間通院しても、計算基準が裁判基準になるだけで傷害慰謝料は高額になりますので、交通事故の示談交渉は弁護士に依頼することをおすすめします。
4、追突事故で慰謝料を請求する流れ
慰謝料の請求方法は、相手の任意保険会社への請求、もしくは自賠責保険への被害者請求の2通りがあります。相手が任意保険に加入している場合は、任意保険会社に請求することになりますので、ここでは任意保険の慰謝料請求方法を解説します。
加害者の任意保険会社の対人担当と呼ばれる社員が、あなたの怪我の損害賠償を担当します。担当者はあなたに必要な書類を送付して、損害賠償の手続きを始めます。
原則として、慰謝料の請求は保険会社の指示に従い書類を記入するだけで進みますが、保険会社任せになるため、自分にとっては不利な条件の慰謝料になることも少なくありません。
任意保険会社と被害者が直接交渉する場合、被害者は医療機関の窓口で治療費を支払う必要はありません。休業損害も場合によっては毎月支払われます。ただし、追突の場合は通院期間が3か月を超えたあたりで、「通院打ち切り」や「症状固定」などをすすめられるようになります。
加害者の保険会社の担当者は、被害者側の代理人ではないため、被害者の利益を1番に考えているわけではありません。通院期間が長くなれば、症状が続いていても治療を打ち切りにしようとします。通院を続けたら、治療費の支払いを止めてしまうこともあるのです。
多くの被害者は、保険会社の担当者に従い、完治していないのに通院を止めてしまいます。治療が終わると慰謝料などの損害賠償額が計算されて、支払金額が提示されます。内容に納得すれば、示談書が送付され、署名押印すれば示談は完了し、保険会社からあなたの口座に慰謝料などが支払われます。
このように、任意保険会社と直接交渉すると、「思うように治療ができない」というデメリットがあります。また、先ほどお話ししたように、慰謝料も低額になる可能性があります。ほとんどが自賠責保険基準で計算されるため、裁判基準の半額ほどしか受け取ることができないことも多くあります。
追突事故で受けた怪我の治療に専念し、正当な慰謝料を受け取るためには、示談交渉は弁護士に一任することが最適です。保険会社との大変な交渉も不要となり、受け取ることができる慰謝料は増額します。
5、まとめ
追突事故の被害にあった場合、病院を受診して、交通事故によって怪我を負ったと診断されれば治療費や傷害慰謝料を受け取ることができます。受け取れる慰謝料は通院日数や治療期間をもとに計算されます。
しかし、採用する計算基準によっては同じ通院日数や治療期間でも慰謝料が2倍以上異なる場合があります。また、保険会社と被害者が直接交渉すると、早い段階で治療が打ち切られ、怪我が治りきっていない状態で交渉が終了する可能性もあります。有利な条件で慰謝料を受け取るためにも、弁護士に交渉を依頼することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスには交通事故の示談交渉の豊富な実績を誇る弁護士が在籍していますので、まずはご相談ください。慰謝料をきちんと受け取れるように、状況に応じて最適なアドバイスをいたします。
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