交通事故で通院することに! 被害者が知っておくべき慰謝料について解説

2021年02月22日
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交通事故で通院することに! 被害者が知っておくべき慰謝料について解説

令和元年、滋賀県内では3647件の交通事故が発生しました。その内、草津市内で発生したのは541件で、616名もの方が負傷しています。この数字には、自動車事故やバイク事故、自転車事故も含まれていますが、いずれにしても多くの方が入院や通院をしたと考えられます。

交通事故によって入院や通院をせざるを得ない場合、生活に支障をきたすことも多く、早めに慰謝料を請求したいと考えるかもしれません。

本記事では、交通事故の慰謝料について、計算方法や受け取りまでの流れを、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。


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1、交通事故でいう慰謝料とは?

交通事故により負傷して入院や通院をすることになった場合、治療のために会社を早退したり休んだりすることで、収入にも影響が出る可能性があります。ケガの程度によっては、その後の生活に大きな不安を抱えることも十分考えられるでしょう。
これらを補填するものが賠償金ですが、その内のひとつが加害者(相手方保険会社)から支払われる慰謝料となります。

交通事故の慰謝料は、入院または通院した場合の「入通院慰謝料」と、後遺症をもたらした場合の「後遺障害慰謝料」に分けられます。慰謝料と治療費や最低限の交通費、休業損害などを合算したものが相手方保険会社から支払われるという流れになります。

2、慰謝料請求で知っておくべき三つの基準

入通院慰謝料および後遺障害慰謝料はどのように算出されるでしょうか。
これは、実際に保険会社が提示してきた金額が妥当なものであるのかを見極めるために必要な知識です。増額の交渉にあたっても役立ちますので、基本を確認しておきましょう。

  1. (1)自動車損害賠償責任保険(自賠責)基準の計算

    傷害による損害については、賠償金の額が120万円を超えない場合に限り、自賠責基準の計算方法が採用されます。自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は国が設けている保険なので、計算基準は一律に定められています。

    入通院慰謝料は日額4300円です。(なお、令和2年3月31日以前に発生した交通事故の入通院慰謝料は、日額4200円です。)これに必要な日数をかけて算出しますが、その日数とは、「入院または通院日数×2」と「治療期間」を比較し、いずれか少ないほうが適用されます。

    たとえば、入院30日、治療期間55日のケースでは、30×2>55ですので、慰謝料は4300円×55日で算出されることになります。

    後遺障害慰謝料については、自動車損害賠償保障法施行令別表第一、または第二によって示された基準によって支払われます。

  2. (2)任意保険基準の計算

    自賠責保険では補えない損害が発生した場合には、「任意保険基準」に基づき算出されます。各保険会社が自社ごとの基準を設けており、具体的な数値は公表されていませんが、自賠責基準と次に説明する裁判所基準の中間で設定されていることが多いようです。

    なお、任意保険は必ずしも全員が加入しているわけではありません。もし加害者が任意保険に加入していなかった場合は、自賠責基準に基づいた慰謝料が支払われることになります

  3. (3)裁判所基準の計算

    裁判所が慰謝料の金額を決定する場合、過去の裁判例から一定の基準を導き出しますが、これが裁判所基準とよばれるものです。

    一般的に、自賠責基準や任意保険基準より高い金額で算出され、弁護士が保険会社と慰謝料の交渉を行う際にも用います。

3、慰謝料をもらえる時期や手続きの流れ

交通事故でケガを負い通院や入院が必要になると、多くの方が、できるだけ早く慰謝料を払ってほしいと思うでしょう。

しかし、基本的には保険会社との示談が成立してからの支払いになります。示談の成立までにはどれくらいの期間がかかるのか、手続きの流れを確認しておきましょう。

  1. (1)事故発生

    事故でケガをした場合、「人身事故」として処理されているかを確認しておきましょう。
    後になって症状が現れる場合があるので、物損事故として処理されている場合には、保険会社から十分な賠償金が受け取れないこともあります。

  2. (2)治療

    通院や入院中は医師に症状を正確に伝え、必要な検査を行ってもらうようにしましょう。
    治療費の領収書はもちろんですが、交通費の領収書なども必ず保管しておいてください。

  3. (3)症状固定

    これ以上治療を続けても効果がないという状態を「症状固定」といいます。
    症状固定になると、それ以降の治療費などが請求できなくなるため、主治医に慎重に判断してもらいましょう。

  4. (4)後遺障害の等級認定

    後遺症がある場合、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらい、損害保険料率算出機構による後遺障害認定をしてもらうことになります。
    そのためには、被害者自身が自賠責保険会社に「被害者請求」する方法と、加害者の任意保険会社を通じて「事前認定請求」する方法があります

  5. (5)示談交渉~示談成立

    保険会社との示談交渉では、提示してきた金額が適正なものか判断しなければなりません。一度示談が成立すると、特別な事情がない限りやり直しはできませんので慎重に見極めましょう。

  6. (6)慰謝料の受け取り

    保険会社の処理にもよりますが、示談成立後、約2週間で慰謝料が支払われるケースが多いようです。

4、交通事故の慰謝料を弁護士に相談するメリット

被害者に過失のない交通事故の場合、相手の保険会社との交渉は被害者自身が行うことになります。治療中にもかかわらず保険会社に対応しなければならない状況は大きな負担になるでしょう。

弁護士が窓口になることで、その負担を軽減するだけでなく、保険会社が提示する慰謝料が適切か判断することや、必要に応じて増額の交渉も可能です。また、後遺障害等級認定を受ける場合や、認定された等級の異議申し立てについても速やかに対応することができます。

弁護士に依頼を検討した場合、料金が発生するので躊躇するかもしれません。その場合、所有している自家用車の任意保険を確認してみてください。任意保険に弁護士費用特約が付帯されていれば、自動車による人身被害事故や物損被害事故にあった場合の弁護士費用が補償される契約になっているはずです。

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5、まとめ

今回は、交通事故の慰謝料とは何か、どのように算出され、どの段階で支払われるのかについてお伝えしました。

無過失の交通事故では、ご自身が加入する保険会社が窓口になることができません。その場合は相手方保険会社との交渉になり、すべてご自身で行う必要があります。仕事をしながら、その間にケガの治療に集中するというのはかなりの負担となるため、諸々の交渉ごとに関して、弁護士へ一任することをおすすめします。

交通事故の慰謝料請求でお困りなら、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスまでご連絡ください。後悔しない示談に向けて尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています