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労働基準法上の労働時間規制。 「適用除外」になるケースを弁護士が解説

2021年07月15日
  • 労働問題
  • 労働時間
  • 適用除外
労働基準法上の労働時間規制。 「適用除外」になるケースを弁護士が解説

総務省の労働力調査によると、平成30年時点における滋賀県内の完全失業率は2.1%で、平成24年の4.0%と比べると、ほぼ半分となっています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、令和2年から雇用環境が悪化しており、令和3年5月時点における滋賀県内の完全失業率は3.0%となっています。

「管理職には残業代が支払われない」ということを、一度でも耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。課長などのポジションに昇進した途端に残業代が支払われなくなり、昇進前よりも給料が下がってしまったなどの事例は珍しくありません。しかし、労働基準法上のルールを厳密に適用すると、残業代の不払いが違法となるケースも比較的多く存在します。

この記事では、労働時間に関する労働基準法のルールが適用除外になる場合について、管理監督者のケースを中心に、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスの弁護士が解説します。

(出典:「滋賀県の労働」(滋賀県HP)、「職業安定業務日報」(厚生労働省滋賀労働局HP))

1、労働基準法上の労働時間規制が適用除外になる場合とは?

労働基準法には、「1日当たり8時間・1週間当たり40時間」という労働時間の上限が設けられています(労働基準法第32条第1項、第2項)。

使用者が、上限時間を超えて労働者を働かせるには、三六協定と呼ばれる労使協定を締結することが必要です(同法第36条第1項)。
その場合でも、時間外労働に対しては25%以上の割増賃金の支払いが必要になります(同法第37条第1項)。

ところが、これらの労働基準法上の労働時間規制は、一部の労働者については「適用除外」とされています(同法第41条)。

以下では、どのような場合に労働基準法上の労働時間規制が適用除外になるのかについて解説します。

  1. (1)労働基準法第41条に定められる適用除外のルールについて

    労働基準法第41条によれば、以下のいずれかに該当する労働者については、労働時間に関するルールが適用除外になります。

    ① 農林・水産関係の事業に従事する労働者
    以下の内容の事業に従事する労働者をいいます。

    • 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(林業を除く)
    • 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業


    ② 管理監督者
    労働条件の決定のその他労務管理について、経営者と一体的な立場にある者をいいます
    どのような人が管理監督者に当たるのかについては、後で詳しく解説します。

    ③ 機密の事務を取り扱う者
    秘書など、経営者や管理監督者の活動と一体不可分な職務を取り扱う、厳格な労働時間管理になじまない労働者をいいます。

    ④ 監視または断続的業務に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
    監視員や管理人など、労働密度の低い(手待ち時間が長い)職務に従事する労働者をいいます。
    なお、これらの労働者について労働時間に関するルールを適用除外とするには、労働基準監督署長の許可を得ることが必要です。

  2. (2)そもそも労働基準法自体が適用されない場合もある

    労働基準法第41条に該当する場合のほか、そもそも労働基準法自体が適用されない場合にも、労働時間に関するルールは不適用となります。

    具体的には、以下の場合には労働基準法自体が適用されません。

    ① 労働者が船員法上の「船員」の場合
    船員については、24時間船上にいるため、通常の労働者と同列に規制を行うのがどうしても難しくなります
    このような船員の性質上、労働時間の上限に関する規定をはじめとして、労働基準法上の多くの規定が適用除外とされています。

    ② 事業上同居の親族のみを使用している場合、労働者が家事使用人の場合
    家族だけで営んでいる事業などについては、働き方も家庭の問題に属するため、あえて法律による規制を及ぼす必要性が乏しいといえます。
    したがって、このような場合には労働基準法が一切適用されません。

    ③ 業務委託の場合
    企業がフリーランスなどに業務委託を行っており、両者間に指揮命令関係が認められない場合には、フリーランスは「労働者」に該当しないので、そもそも労働基準法が適用されません
    もっとも、形式上は業務委託契約であっても、実質的に雇用契約であると判断され労働基準法が適用される場合もあるので、注意が必要です。

2、「管理監督者」とは?

世間一般でいうところの「管理職」に当たる人に対して、労働基準法上の「管理監督者」という取り扱いで、残業代を支給しないケースがしばしば見られます。

この「管理監督者」とは、どのような人を意味しているのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。

  1. (1)管理監督者の定義

    労働基準法第41条第2号では、管理監督者について「監督若しくは管理の地位にある者」とだけ述べられています。

    これだけでは非常に抽象的ですが、判例実務においては、管理監督者は「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」であると解されています

    そして、管理監督者に当てはまるかどうかについては、以下の要素を総合的に考慮したうえで、「経営者と一体的な立場にある」といえるかどうかという観点から判断されます。

    • ① 重要な職務内容を有していること
    • ② 重要な責任と権限を有していること
    • ③ 勤務態様が労働時間の規制になじまないこと(時を選ばずに経営上の判断や対応が要請されること)
    • ④ 賃金などについて、その地位にふさわしい待遇がなされていること
  2. (2)「管理職」でも管理監督者に該当するとは限らない

    「管理職だから」という理由で残業代を支給しないケースの中には、「管理職」という肩書とは裏腹に、職務内容・責任や権限・勤務態様・待遇などから、「経営者と一体的な立場にある」とは全く評価できないような例も見受けられます。

    このような例は、いわゆる「名ばかり管理職」としてしばしば問題になっています。

    特に中間管理職的な立場にいる労働者については、経営者と一体というよりは、ヒラの社員と同じような業務に引き続き従事していることも多いため、ますます「名ばかり管理職」である疑いが強まります。

    「名ばかり管理職」の方に残業代を支給しないことは労働基準法違反であり、労働者は会社に対して未払い残業代の支払いを請求することができます

3、未払い残業代を請求する方法は?

「名ばかり管理職」として違法に残業代が支給されなかった場合、労働者が会社に対して未払い残業代を請求するための方法について解説します。

  1. (1)会社と交渉する

    まず考えられるのは、未払い残業代の支払いについて会社と直接交渉を行う方法です。
    もし交渉で未払い残業代の支払いについて合意できれば、もっとも手間なく問題を解決することができます。

    しかし、会社の側としても未払い残業代の支払いを渋るケースが多いため、必ずしも労働者側が望む条件で交渉がまとまるとは限りません
    その場合は、法的手続きを取ることになります。

  2. (2)労働審判を申し立てる

    未払い残業代の請求に関する法的手続きのひとつとして、「労働審判」があります。

    労働審判は、裁判官と有識者で構成される労働審判委員会が主宰する審判手続きです。

    労働審判の場では、労使双方が自らの主張を提示し、それらを踏まえて労働審判委員会の仲介による調停が試みられます。
    調停が成立しない場合でも、最終的には審判が下されることにより、公的な形で解決案が提示されます。

    労働審判の手続きでは、審理が原則3回で終了するため、訴訟に比べて迅速な解決が得られるメリットがあります
    ただし、労働審判の内容に対してどちらかが異議を申し立てた場合、自動的に訴訟手続きに移行してしまうことに注意が必要です。

  3. (3)訴訟を提起する

    労使間の主張する条件がかけ離れている場合や、労働審判の内容に対して異議が申し立てられた場合には、最後の手段として訴訟の場で未払い残業代の支払いを争うことになります。

    訴訟では、労使双方が自らの主張を提示したうえで、証拠による事実の立証を展開します。
    訴訟の場では、弁護士を訴訟代理人に選任するのが通常です。

4、残業代の請求を弁護士に依頼するメリットは?

未払い残業代を会社に対して請求する場合は、弁護士に相談することをおすすめいたします。
弁護士に相談することによって、労働者は以下のようなメリットを享受することができます。

  1. (1)会社と対等な立場で交渉できる

    そもそも労働者と会社の間には、知識・社会的地位・マンパワーなど、さまざまな観点から大きな力の差が存在します
    そのため、労働者が独力で会社と交渉をするのは、非常に大きな負担になってしまうでしょう。

    労働者が弁護士に依頼をすれば、労働者の味方である労働基準法という強力な法律を武器に、会社と対等な立場で交渉を行うことが可能となります。

  2. (2)労働審判や訴訟の手続きをスムーズに進められる

    会社との交渉がまとまらない場合、労働審判や訴訟などの法的手続きの中で未払い残業代の支払いを争わなければなりません。
    これらの手続きは専門的であり、書面の準備なども非常に大変です。

    この点、弁護士は法的手続きに精通していますので、手続きの進行を安心して任せることができます。
    また、書面の準備についても弁護士に一任できますので、労働者側の負担は大きく軽減されることでしょう。

5、まとめ

いわゆる「管理職」の方が、労働基準法上の「管理監督者」として取り扱われ、残業代を支払われていないというケースは非常に多く見られます。

しかし、労働基準法上の「管理監督者」は、経営者と一体の地位にある者に限定されますので、中間管理職の方などについては、「管理監督者」に該当しない可能性が高いと考えられます。

労働基準法上の「管理監督者」に該当しないにもかかわらず、残業代が支払われていないという場合には労働基準法違反であり、未払い残業代が発生している可能性が高いでしょう。

その場合は、ベリーベスト法律事務所 滋賀草津オフィスにご相談ください。
ベリーベスト法律事務所では、労働問題の専門チームが、労働者の方の権利を正しく実現するために尽力いたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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